【野球】アラッ? 長嶋ジャパン快挙の後にまさかの黒星

送りバントに失敗した高橋由伸 天国から地獄。17日の野球1次リーグ・キューバ戦で快勝した日本は、12時間後の豪州戦に4−9でまさかの黒星。3勝1敗となり、祝勝ムードは吹き飛んだ。20日のカナダ戦から、目標の金メダルに向けて仕切り直しとなる。〔写真右:七回、送りバントに失敗し、三飛に倒れる高橋由。キューバ戦から一転、日本は空回りが目だった=撮影・奈須稔。同下:ベンチから腕組みして劣勢の試合を見守る中畑ヘッド=左=と大野コーチ=撮影・奈須稔

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 油断はないはずだった。周到な情報も、気合も、入れ直していた。しかし、これも五輪の持つ怖さだった。

 「完敗です。(豪州の)勢いを止められなかった」

 1次リーグ1勝2敗の伏兵・豪州に、まさかの黒星。中畑ヘッドはグッと奥歯をかみ締めた。先発の清水直(ロッテ)が四回途中に突如崩れ、3失点KO。五回に福留(中日)が3ランを放ち、4−3と逆転したのもつかの間、七回に三浦、石井が5連打を喫して3点を献上し、八回には安藤(阪神)が元中日・ニルソン(ディンゴ)の本塁打を浴びるなど、これまた3失点。屈辱の投壊現象で痛恨の逆転負けだ。

中畑ヘッドと大野コーチ 丸一日で2試合の強行軍。12時間前に同じアテネ球場でキューバを撃破したナインは試合前、ミーティングで豪州のデータを全員がインプットし、4連勝に向けて気合を入れ直していた。しかし、フタを開ければ15安打9失点。「どの国も同じ条件。(日本に)スキがあったといわれても仕方ない」。1失策の主将・宮本は、声を搾り出した。

 勝てば決勝トーナメント進出をほぼ確実にできるはずだったが、結果は逆に1次リーグ1位通過に黄信号がともる事態。準決勝でキューバとの対戦を避けるためにも、残り3戦が長嶋ジャパンの命運を握る。

山田貴史


★踏ん張れなかった中継ぎ陣、痛打浴びる

 中継ぎ陣が踏ん張れなかった。豪州戦の六回から登板の3番手・三浦(横浜)は七回途中に4連打を浴びて降板。続く3連投の石井(ヤクルト)も2点適時打を浴びた。「コースが高くなった。振ってくると分かっていたけど」と三浦。石井も「もう少し低めに投げておけば」と後悔していた。

★福留逆転3ランも実らず

 福留(中日)が豪州戦の五回、一時は逆転となる3ランを右翼に放った。「(強い)風にも助けられた。何とかしようと初球から思い切っていきました」と大会2号に手応え。ただ、その後の逆転負けに「どこも同じ条件だし、切り替えるしかない」と出直しを誓っていた。

 ◆長嶋茂雄監督 「キューバより格下の豪州に負けた。しかし、これもまた野球なのだ。実は私はきょうの敗戦をあまり悲観的にみていない。決勝トーナメントまでのために悪い部分が出たと思えばいい。明日は試合がない。各自リフレッシュに努めてください。今日のことは一切、反省しないように忘れてください。そして、あさっては全員が真っ白な気持ちでグラウンドに立てるようにしてください」(豪州戦後、長男の一茂氏を通じてのメッセージ)

 ◆豪州戦の中継ぎ陣について大野投手コーチ 「清水も悪くなかったが、ボールが高く浮いたね。三浦が誤算だった」

 ◆豪州戦で9失点を喫した女房役の城島(ダイエー) 「負けたのは自分の責任。準備は怠っていなかったけれど」

 ◆1犠飛の中村(近鉄) 「勝てば楽な展開だったけど。切り替えていくしかないよ」

 ◆安藤からソロを放ったニルソン(豪州=元中日のディンゴ) 「気持ちを変えず、集中できた。メダルに向かってやるだけだ」

★ウィリアムス立ちはだかる

 トラの守護神に沈黙した。七回途中から登板したウィリアムス(阪神)に九回までわずか1安打。最後は福留、宮本、高橋由のセ・リーグ3打者が連続三振に倒れた。ウィリアムスは「興奮していたよ。上位に行くであろうチームに幸運にも勝ててうれしかった。知っている選手との対戦も楽しかった」と余裕のコメント。

★小早川毅彦★

 日本はキューバに勝つなどすでに3勝。一方の豪州はすでに2敗しています。一見、下位に取りこぼした程度の錯覚に陥りますが、実は豪州に敗れたことで、もう1つ負けて2敗になってしまうと、準決勝に進めない可能性もないわけではないのです。

 5勝2敗で5チームが並ぶ。勝敗で複数のチームが並んだ場合の順位決定方法は(1)当該対決(2)1イニング当たりの失点(3)同自責点(4)打率(5)コイントス−と規程が設けられています。本来なら準決勝以降に照準を絞り、カナダ戦、台湾戦で仮に終盤リードされていた場合は、敗戦覚悟でリリーフ陣を温存させる戦法も可能でしたが、今後はリードを許しても最後まであきらめられない。結果的に負けても失点を少なく…。この1敗で、そんなことも考える必要が出てきました。

 無駄な失点を防ぐ最善策は無駄な走者を出さないことですが、バッテリーは外にボール1、2個に広いといわれる国際ルールのストライクゾーンに惑わされ過ぎているように感じます。追い込んで狙い通りに投球が外角に決まってもボール、ボールでフルカウントというシーンが幾度かあった。日本での野球と同じ、ベースの上で勝負する意識に修正しなくてはいけません。

サンケイスポーツ専属評論家



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