【野球】これが長嶋ジャパン! 猛爆七回コールド豪快発進
長嶋ジャパンが会心のスタートを切った。野球1次リーグが始まり、金メダルを目指す日本はイタリアを相手に13安打12得点でゼロ封勝利。2000年シドニー五輪でメダルを逃し、涙した中村紀洋内野手(31)=近鉄=が2安打4打点と爆発すれば、開幕投手の上原浩治投手(29)=巨人=は6回無失点と貫禄を見せ付けた。ベンチには背番号「3」の日の丸とユニホーム。脳梗塞(こうそく)でリハビリ中の長嶋茂雄監督(68)の魂が、ジャパン戦士に勇気を与えた。〔写真右:ベンチで指揮を執る中畑ヘッドの背後には、長嶋監督が「3」を書き込んだ日の丸と監督のユニホームが飾られていた=撮影・藤原重信:。同下:一回に中前タイムリーを放つ中村。前回シドニー五輪の雪辱を果たすべく、4打点と奮闘した=撮影・尾崎修二〕
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世界よ、これが王者を目指す長嶋ジャパンの姿だ。立ちはだかるもの、すべてを完膚なきまでに粉砕する。最初に血祭りに上げたのは、欧州1位のイタリアだった。
「ホームランより一回のヒットの方がうれしかったね。やはり、1点より2点。勝つのと負けるとでは大違いやから」
一回、相手の失策で1点を先制し、なおも二死二塁。中村の白木のバットは“気”を発していた。五輪への執念とメダルへの執着心。放たれた打球は中前を襲い、二走・城島の生還を呼ぶ。さらに、三回には右翼へ長嶋ジャパン第1号の中押し2ラン。続く六回の犠飛も合わせ、2安打4打点の大爆発だ。ノリがアテネの空を制圧した。
今季初めから取り組んできた“五輪打法”。国内のボールより固いとされる国際球を思い切り、“ひっぱたく”ことを心がけた。「あれを日本でやるとボールがつぶれてしまう。でも、我慢強くやってきてよかった」。時に強引すぎると揶揄(やゆ)されたこともあるが、すべて金メダルのため。シドニーの“忘れ物”を取り戻すためのこだわりだった。
ノリだけじゃない。24戦士の心には長嶋監督の魂が宿っていた。午前8時過ぎ。宿舎を出発する際、ナインの目の前で監督直筆の「3」が入った日の丸が広げられた。ベンチに掲げられた日の丸の横には五輪出場を断念した背番号「3」のユニホームが背を表にして飾られた。試合前、選手たちは「3」にそっと手を触れて、グラウンドに飛び出していった。『ファア・ザ・フラッグ』の精神には日本野球への愛情にも裏打ちされている。日本球界でくすぶり続ける再編問題。遠く9600キロ離れたギリシャから“伝道師たち”は、野球が生む感動のメッセージを送り続ける覚悟だ。
「2点目が大きかった。ノリの一打がみんなに勇気を与えてくれた。きょうはきょう。明日は明日。集中力を切らさないことが大切ですから」
胸をなでおろした中畑ヘッドコーチもまた、監督代行の重責から前夜は寝付けなかった。ひげをそって出陣したのも一つのけじめだった。
記念のウイニングボールは、最後を締めた三浦から中畑ヘッドを経て長嶋監督に届けられる見込み。魂の絆(きずな)。ドリームチームが金メダルへの第一歩を力強く記した。
(山田貴史)
◆長嶋茂雄監督 「まずは初戦、お疲れさま。そして、おめでとう。昨年の予選(初戦)の中国戦に比べれば、数段リラックスしていたし、大差で勝ったが最後までボールに集中していた。これもイタリアでの合宿の成果だろう。しかし、今回はコールドで勝ったが、明日どうなるか分からないのが野球だ。あと8試合ある。ゆっくり休んで、明日起きたらリセットしてください。いずれにせよ、ナイスゲームでした。中畑コーチ以下ベンチのムードもとても良く、全員の気持ちがひとつになっているのがよく分かる。これからの戦いも全員で勝利をつかみにいくようにしてください」
(このメッセージは長男・一茂氏を通じて各選手へのメッセージを添えてファクスで選手宿舎に届けられた)
★小早川毅彦★
金メダル候補といわれる日本ですが、前回のシドニーではメダルを逃したチーム。それだけにあくまでも挑戦者として、攻撃的な野球をしてほしいと望んでいましたが、期待通りの最高のスタートが切れました。
先発野手では谷、和田一が無安打でしたが、ともに正面をついたり、好捕に阻まれただけ。和田一は結果が出ないまま一昨年の日本シリーズを終えた苦い経験がありますが、重圧がかかる中軸ではないですし「内容は悪くない」と気持ちを切り替えられるはずです。
守備面ではイタリア打線にフォークをついてこられ、上原は思うように三振が取れなかった。アテネは大変乾燥しており、ボールが滑るのかもしれません。投手は指の感触を確かめながら、修正していく必要があります。
また球場の特徴として、外野の芝が深く、ゴロが転がらない。強肩揃いの外野陣ですが、球場が海岸沿いにあるため風が強く、外野手を前に出すのは難しいでしょう。
この日は高木・三塁コーチが大胆に本塁突入を指示していましたが、この球場は守備より、攻撃で味方につける感覚の方がいいと思います。
(サンケイスポーツ専属評論家)
★大当たりの城島、股間にまで当たった
4番の城島(ダイエー)も4打数3安打1打点。正妻役として先発の上原(巨人)を好リードし、攻守にわたる活躍を見せた。だが、六回の守備で投球が股間を直撃して途中交代。「明日、ベラベラ話しますから。勝ってよかったですよ」と前かがみで帰路に就いた。
★上原“五輪初勝利”
昨秋のアジア予選に続き、上原(巨人)が開幕投手として登板。6回4安打無失点で“五輪初勝利”を挙げた。「最初の試合は自分以上にチームにとって重要。無失点に抑えられて満足しています。ストライクゾーンなどにもうまく適応できた」とホッとした表情だった。
◆1本塁打を含む5打数3安打2打点の福留(中日)「緊張感なく、普段通りできた。一発? (逆風でも)入ってくれてよかった」
◆3打数1安打3得点とつなぎ役に徹した高橋由(巨人)「最初に1点を取れたから良かった」
◆七回に登板し、無安打で最後を締めた三浦(横浜)「すごく緊張しましたよ」
◆5打数2安打1盗塁の主将・宮本(ヤクルト)「個人的なことは何も。きょうのことは忘れて、また明日です」
◆観戦した阪神・星野仙一オーナー付シニアディレクター(57) 「オレもびっくりしたけど、小さなミスは1つもなかった。普通これだけ点差が開いたら、気の緩みとか出るけど、きょうは全くなかった。長嶋ジャパンという1つのチームができあがっとる。きょうの試合でそれを確認できた。それがオレの一番うれしい点や」
◆日本ベンチの上から声援を送った中村の夫人・浩子さん(33)「前回のシドニーでは悔しい思いをしていますから。今度こそメダルをという気持ちだと思います。金メダルを獲ったら私も泣いちゃうかもしれませんね」
★金子が発熱で欠場
野球日本代表の金子誠内野手(28)=日本ハム=が、15日のイタリア戦を発熱のため欠場した。同内野手は14日夜に体調不良を訴え、薬を服用して就寝。しかし、この日朝になっても37・2度の熱があったため、大事を取って、宿舎ホテルで静養した。16日のオランダ戦出場は当日の様子を見て決める。
★先発ローテを一部変更、キューバ戦は松坂で
金メダル奪回に向け、先発投手のローテが一部再編された。第2戦(16日)のオランダ戦を当初の松坂(西武)から公式戦12連勝を飾った岩隈(近鉄)に変更。第3戦(17日)のキューバ戦は和田(ダイエー)から松坂に変わり、開幕3連勝を狙うことになった。
★競技方法★
8カ国・地域による1回戦総当たり方式で1次リーグを行い、上位4チームが決勝トーナメントに進出する。1次リーグの順位は全試合の勝敗の数で決まるが、同順位のチームが複数ある場合は(1)直接対決で勝ったチーム(2)同順位チーム間の試合で1イニングあたりの失点が少ないチーム(3)同順位チーム間の試合で1イニングあたりの自責点が少ないチーム(4)同順位チーム間の試合で打率が高いチーム(5)コイントス−の順で上位チームを決定する。決勝トーナメントはまず準決勝で予選1位vs同4位、同2位vs同3位の対戦。勝った2チームが決勝に進み、敗れた2チームが3位決定戦を行う。
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