エルゲルージは5000も制して80年ぶり2冠
28日の陸上男子5000メートル決勝で、ヒシャム・エルゲルージ(29)=モロッコ=が13分14秒39と、わずか0秒20差で競り勝ち、1500メートルに続いて今大会2個目の金メダルを獲得した。1500メートルと5000メートルという中・長距離での異例の2冠は、1924年パリ五輪のヌルミ(フィンランド)以来80年ぶり、史上2人目の快挙となった。女子1500メートルを勝ったケリー・ホームズ(英国)も800メートルとの2冠。男子やり投げはアンドレアス・トルキルドセン(ノルウェー)が86メートル50で制し、4連覇を狙ったヤン・ゼレズニー(チェコ)は9位。女子走り高跳びはエレーナ・スレサレンコ(ロシア)が2メートル06の五輪新記録で優勝した。〔写真:80年ぶりに1500メートル、5000メートルの中・長距離2冠を達成したモロッコのエルゲルージ=AP〕
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中・長距離での2冠を目指したエルゲルージと、すでに今大会の1万メートルを制し、長距離2冠を狙ったベケレ(エチオピア)に、19歳のケニアの新鋭、キプチョゲがからむ展開。最終200メートルでベケレがキプチョゲを抜き、残り50メートルでエルゲルージがスパート。僅差で金メダルをさらった。
「ペースが速くて心配したが、最終的に自分の戦略が実った」。最後に笑ったのは、いたずらに仕掛けず「待ち」に徹したエルゲルージだった。
「最強の中距離選手」と呼ばれるエルゲルージは24日、1500メートルで念願の五輪金メダルを獲得。長距離の5000メートルは昨年、フランスで開催された世界選手権で2位に入ったが、1500メートルに比べれば実績は乏しい。しかしアテネは、97年に開かれた世界選手権の1500メートルで勝ち、初の世界王者となったゲンのいい、思い出の地だ。
そこへ「97年に“王子様”と出会ったアテネが、今度は“王様”にお目にかかれることを楽しみにしている」というメッセージが届いた。親しい友人からだった。「今日は絶対に勝つ」。自分にそう言い聞かせた。
「五輪史上初めて、1500メートルと5000メートルに勝てたのがうれしい」と語ったが、自分が生まれる50年も前にいたヌルミのことを知らなかった。彼にとっては、1500メートルと5000メートルで世界を席巻し、84年ロサンゼルス大会で5000メートルを制した母国の英雄、アウィータこそが“王様”だった。
それから20年−。モロッコ陸上界に、新たな“王様”が誕生した。
★ホームズは女子800と1500で2冠
女子1500メートルを制したのは、800メートルの覇者、ホームズ(34)=英国=だった。
800メートルの勝利後、精神的に疲れていた。「この出場は最後の最後で決めた」。にもかかわらず、レース展開は最初の勝利と同じように、最後の100メートルで抜け出した。力強い腕の振りで世界選手権覇者のトマショワらを後ろに追いやった。
「今年は本当にけががなく、不安なく競技に打ち込めている」。走りに円熟味が加わり、万全の体調で臨んでの7年ぶりの自己ベスト更新は同時に、英国記録になった。
★ゼレズニーV4どころか惨敗9位
やり投げで98メートル48の世界記録を持つ男が、4連覇達成はおろか、ベスト8にも残れない惨敗。チェコの英雄ヤン・ゼレズニーは、9位という不本意な成績で最後になるであろう五輪を終えた。38歳。3投目になんとか80メートル台に乗せる80メートル59を投げたが、ここまでだった。「ラストのオリンピックでこの結果は悲しい。無念だ。言葉がない」と失望を口にした。
★スレサレンコが走り高跳び女王
陸上女子走り高跳び決勝。世界女王クルーテ(南アフリカ)を相手に、スレサレンコは一歩も引かなかった。2メートル06の五輪新記録で優勝。「大変な戦いに勝てて、幸せ」。跳びはねながら、スタンド最前列のコーチの下に駆けていった。家族と過ごす時間を増やしたいことなどから「ことしの終わりには、将来のことを考える」。ニューヒロインの笑顔が輝いた。
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