世界一のバトン渡しで日本400継過去最高の4位
史上最高成績だ。28日の陸上男子400メートルリレーで、日本(土江、末続、高平、朝原)は38秒49で4位に入った。世界の快速王たちを抑えて、堂々の入賞。92年バルセロナ、00年シドニー両大会の6位を上回る五輪史上最高成績。日本の陸上競技史に、金字塔を打ち立てた。〔写真:高平からアンカーの朝原へ。さあ、勝負だ=撮影・奈須稔〕
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アンカーの朝原宣治にバトンが渡った。前に6人。柔和なマスクが鬼の形相に変わった。「魂を込めて走りました」。圧巻の走りだ。1人抜く。2人抜く。そして3人目も。ゴールになだれ込んだ。4位だ。チーム全員が朝原に駆け寄った。
日本のリレーチームが、新たなステップに進んだ。32年ロサンゼルス五輪。三段跳び金メダルの南部忠平や“暁の超特急”吉岡隆徳ら、史上に残るメンバーで勝ち取った過去最高位5位を、72年ぶりに超えた。
末続慎吾は2走。個人の100メートルで2次予選敗退した日本のエースは、「五輪は自己ベスト出せばとか、追い風が吹けばとか、そんなんじゃ勝負できないところだと分かった」。次につなげるためには、ここでリベンジしておく。つなぎ役に徹して、全力でバトンを運んだ。3走の高平慎士を経て、「アンカーに渡れば大丈夫」(末続)と絶大な信頼を受ける朝原が追い込み、時代の扉を開いたのだった。
この日のために、「覚えていないぐらい」(朝原)に多くの合宿を重ねた。個人で練習することの多い陸上界では、全日本合宿を重ねるのは異例。バトン渡しの練習は世界一。この日もレース前に何度もシミュレーションした。合宿で常に朝原がチームの中心にいた。
「満員の観衆の中で感動を味わうのは、これが最後かもしれないので」と朝原は言う。五輪の舞台はラストとなりそう。昨春誕生した長女・寧々ちゃんも成長し、スタンドに観に来られるまでになった。愛娘の目に、父の雄姿を焼き付けることができた。
次代を受け継ぐことになる末続は「インターハイで同じ高校生に負けた、感じですかね」と悔しそうに笑った。世界の強豪も“大人”ではないことを実感した。メダルを獲れる手応えはある。4年後が楽しみな種目が、またひとつ増えた。
(結城正)
◆土江寛裕 「本当はメダルを取って泣きたかった。(4位は)いちばん悔しい順位。大成功とはいかないが、次につながってくれれば…」
◆末続慎吾 「体調も万全で臨めたので、メダルを狙っていた。どこでミスをしたというわけではない。力負けして悔しい。4年後の北京でこの借りを返したい」
◆高平慎士 「メダルを狙っていたので悔しいけど、これから陸上を続けていく上でいい経験になった。(3走として)末続さんと朝原さんの間をつないで走ったことは、これからに生きると思う」
◆朝原宣治 「正直言って、もう一つ順位を上げてメダル(獲得)だったらよかったが、今までで最高の順位なので…。個人種目では力の差を見せつけられたが、リレーでは4人の力がうまく合わさった」
★英国に92年ぶり歴史的金
男子400メートルリレーは英国と米国の競り合いとなり、英国が0秒01差で勝った。英国にとっては五輪では1912年ストックホルム大会以来、92年ぶりの歴史的な勝利。昨年の世界選手権では米国に0秒02及ばず2位だったが、第3走者のデボニッシュは「ここ数年、ぼくたちと米国との距離は縮まっていた」。アンカーのルイス・フランシスは「グリーンが迫っているのは分かったけど、バトンをもらった時から勝てると確信していた」と自信たっぷりだった。
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