競技後の尿検体は別人、アヌシュ失格で室伏に金

 国際オリンピック委員会(IOC)は29日、アテネで理事会を開き、陸上男子ハンマー投げで優勝したアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)をドーピング(薬物使用)違反で失格とし、金メダルをはく奪した。2位の室伏広治(29)=ミズノ=が繰り上がり、金メダル獲得が決まった。上位選手の失格により、日本選手が金メダルを手にするのは史上初めて。今大会の日本の金メダルは16個となり、最多だった1964年東京大会と並んだ。〔写真:男子ハンマー投げで金メダルに繰り上がり、記者会見する室伏広治選手=五輪メーンプレスセンター(共同)



 アヌシュは、IOCが求めたドーピングの再検査を拒否したことで、違反に問われた。理事会に先立ち開かれた規律委員会を同選手は欠席。代わってハンガリー・オリンピック委員会のシュミット会長らが弁明し(1)再検査場所に問題があった(2)五輪期間中に血液採取を含め3度、検査を受けすべてパスした−などと潔白を主張した。

 しかしIOCは、アヌシュ側の説明には検査拒否の正当な理由はないと判断。さらに五輪の競技前と競技後の検査で採取したアヌシュの尿検体が、別人のものだったという決定的な証拠も示し、同選手のドーピング違反を認定。理事会で正式の処分を決めた。

 アヌシュは22日の競技後の検査では、禁止薬物に陰性だった。しかし、同じコーチから指導を受ける男子円盤投げ優勝者が、検査で検体の提出を拒否して失格となったことなどから、IOCはアヌシュにも「検体を操作した疑惑がある」として追跡調査を開始。同選手に再検査を受けるよう求めるとともに、五輪で採取した複数の検体の比較分析も行った。

 IOCのルールでは、検査拒否や検査時の不正は、陽性反応を示した時と同様に違反となる。アヌシュの疑惑では、日本オリンピック委員会(JOC)もIOCに調査を要請していた。

 室伏は22日の決勝で82メートル91を投げたが、アヌシュには28センチ差で及ばなかった。繰り上げ優勝で、五輪陸上の投てき種目ではアジア選手で初の金メダリストになった。日本の陸上がマラソン以外で五輪の金メダルを獲得したのは、1936年ベルリン大会男子三段跳びの田島直人以来で68年ぶり。(共同)

 ◆室伏広治 「これまで精いっぱい努力してきた結果が、このように金メダルという形で残すことができてうれしく思う。メダルを直接表彰台で受け取りたかったのが本音。日本の皆さんの応援があったからこそ、このように五輪で精いっぱい戦うことができた。わたしとしては、一番重要なのは努力し続けることだと思っている」


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