29日にIOCがアヌシュ聴聞、疑惑晴らせるか

アドリアン・アヌシュ 国際オリンピック委員会(IOC)が求めたドーピング(禁止薬物使用)の再検査に応じず、金メダルはく奪の可能性がある陸上男子ハンマー投げ優勝者アドリアン・アヌシュ(29)=ハンガリー=に対するIOC規律委員会による聴聞会が29日、アテネで開かれる。ハンガリーに帰国していたアヌシュも聴聞に応じる。ドーピング違反が確認されれば金メダルのはく奪が決まり、2位の室伏広治(29)=ミズノ=が繰り上がって金メダルを獲得する。〔写真:表彰台の中央に立ったアヌシュだが、ドーピング疑惑の渦中に。金メダルを死守するために聴聞を受ける=撮影・川村寧



 アヌシュの疑惑を解明するIOC規律委員会の聴聞会が、29日午前11時(日本時間午後5時)からアテネで開かれる。IOCによると、既にハンガリーに帰国しているアヌシュもアテネに戻って聴聞に応じるという。なぜ再検査を拒否したかが、争点となる。

 聴聞会には、ハンガリーのスポーツ関係者のほか、96年アトランタ五輪で金メダルを獲得したバラシ・キシュらハンガリーの元選手数人も出席し、アヌシュの弁護に加わるという。

 アヌシュは22日の競技直後の検査で提出した検体(尿)は陰性だった。しかし、同じコーチに師事する男子円盤投げ優勝者ローベルト・ファゼカシュが、検体をすり替えようとしたと指摘され、金メダルをはく奪された。同僚の不正でアヌシュにも“すり替え疑惑”が浮上し再検査が決定。IOCは27日に再検査を受けるよう求めたが、アヌシュは応じなかった。

 共同電によると、アヌシュの代理人は「金メダルを失うことを理解したうえで、再検査を受けなかった」としたうえで、「アヌシュは五輪期間中に3度のドーピング検査を受け、いずれも陰性だった」と潔白を主張。アヌシュも同様の言い分を述べると思われる。

 五輪選手にはIOCの追跡検査に応じる義務があり、通常、これを拒否すれば違反とみなされ失格になる。規律委が聴聞の内容を検討して理事会に上申。その後に開催される見込みの理事会が最終決定を下す。現在のところ、アヌシュの金メダルはく奪が有力視されており、室伏が繰り上がる可能性が高い。

★アヌシュの代理人に聞く★

 −−検査には行ったのか
 ジョゼフ・バビニェツ氏 「アヌシュは検査を受けなかった。金メダルをはく奪されるかもしれないことは、ちゃんと知っている。彼もそれは十分に理解していた」

 −−では、なぜ
 「違反疑惑を報じられ、精神的に参っていた。彼はもともと精神的に強い人間ではない。彼の友人によれば、ノイローゼに近い状態という。彼の6歳の娘もおびえているそうだ。再検査を受けられる状況ではなかった」

 −−潔白を主張するのか
 「彼は今回の五輪期間中に3度のドーピング検査を受けている。アテネに到着してすぐと、競技の少し前に1度ずつ。そして優勝した直後にも検査された。いずれも陰性だった。金メダル獲得後、2日間は選手村でじっとしていたが、一度も再検査の要請はなかった」

共同


★またハンガリーがドーピング

 IOCは28日、アテネで理事会を開き、重量挙げ男子105キロ級2位のフェレンツ・ジュルコビッチ(ハンガリー)をドーピング違反で失格とし、銀メダルをはく奪することを決めた。競技直後の検査で筋肉増強剤のオクサンフロロンが検出された。

 レスリング女子55キロ級5位のマベル・フォンソカ(プエルトリコ)もドーピング違反で失格。筋肉増強剤のスタノゾロールに陽性反応を示した。


著作権、リンク、個人情報について