【マラソン】「短足」武器に油谷はメダルへチャレンジ
アテネ五輪の閉幕を彩る最終種目、男子マラソンは29日号砲。22日の女子マラソンで、野口みずき(26)が金メダルを獲得しており、男子にも期待が高まる。女子で世界記録保持者ポーラ・ラドクリフ(英国)が途中棄権する波乱の展開となったのを受け、日本勢にもチャンス到来。世界選手権2大会連続入賞の油谷繁(27)=中国電力=がメダル獲りに挑む。〔写真:男子マラソンも忘れるな! 健闘を誓う、左から国近、油谷、諏訪。チャンスはあるぞ=共同〕
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野口みずきの金メダルから1週間。メダルラッシュに沸いたアテネ五輪日本選手団の大トリを飾る男子マラソン陣が燃えている。世界選手権2大会連続5位の油谷の目もギラリと光った。
「世界記録を持っているラドクリフ選手が棄権するコース。男子だとテルガトに当たるけど、男子でも十分あり得るので、自分にも大いにチャンスが広がったのかな。世界一速い人が勝つとは限らないと思いました」
ラドクリフが36キロ過ぎで途中棄権するシーンは衝撃だった。男子の世界記録保持者はポール・テルガト(ケニア)。35歳のベテランだが、昨年9月のベルリンで2時間4分55秒の大記録を打ち立てたばかり。そのときペースメーカーを務め、1秒差でゴールしたサミー・コリル(ケニア)が五輪を欠場するため、優勝候補筆頭だ。その大本命がもしリタイアするようなことがあったら…。スピードで劣る日本勢にも勝機がやってくる。
「自分はチビっ子なので下りの足の回転がいいので、スムーズに下れると思う。足が短いので、上りもスムーズに上がれると思います」
1メートル63の小柄な体を逆に武器にする。そういえば、野口も1メートル50のミニサイズだった。昨年のパリ世界選手権で日本人最上位の成績でアテネ切符を獲得したのも、野口と共通している。
「出るからには1番を狙って臨みたいです」
油谷はキッパリ言い切った。92年バルセロナ五輪銀メダルの森下広一(現トヨタ自動車九州監督)以来の表彰台を、虎視眈々と狙っている。
★国近、諏訪も調整ばっちり
昨年12月の福岡国際で1、2位を占めた国近友昭(エスビー食品)と諏訪利成(日清食品)も絶好調を宣言した。瀬古利彦監督のもと、主に北海道で調整してきた国近は「自分のスタミナを信じて走りたい」と順調な練習ぶりを強調。諏訪も「いつもどおり、レースを投げないように走りたいです」と完全燃焼を誓った。ともに初の五輪で、世界のトップクラスに勝負を挑む。
★世界のライバル
ケニア3人衆のうち、世界歴代2位のコリルが欠場を決め、世界記録保持者のテルガトが優勝候補だ。トラックの1万メートルでも五輪銀2個の快速を誇る。アトランタ銅、シドニー銀のワイナイナは夏の五輪で強く、3大会連続メダルを狙う。夏といえば、スペイン勢が強く、ペーニャ、レイ、リオスの3人が上位をうかがう。昨年パリ世界選手権を制したガリブ(モロッコ)は4月のロンドンでも2時間7分2秒で3位と好走が続く。女子と比べて選手層の厚い男子は、世界記録から3分以内に71選手がひしめき、伏兵が上位にくる可能性も高い。
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| マラソン発祥のマラトン村をスタートし、アテネ中心部のパナシナイコ競技場にゴールする42・195キロで行われる。最大高低差は200メートル超で、アップダウンも激しい。スタート時のマラトン村の天気予報は晴れ、気温27度、湿度40%。 |
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★中山竹通
女子と違って、男子は選手層が厚いため、20キロまでは大集団になるだろうが、この中を走るのは精神的に疲れる。給水のたびにペースの上げ下げがあり、周りの選手の動きを見なければならない。五輪はどうしてもスローペースになるので、名のない選手が前に出たりして振り回されることもある。その中でポンと仕掛けてくる選手が出てくるわけだ。
女子はラドクリフやヌデレバらマークする選手が限られていたが、男子は大勢いるので絞れない。エチオピア、ケニア、スペインやイタリアなどの欧州勢も強い。女子のレースを参考にして、野口のように上り坂で仕掛ける選手が出ることも考えられるが、男子の場合は集団のまま上りきることも考えられる。そうなると最後の下りはスピード勝負。日本勢には厳しくなる。
結局は、本番の体調をどう整えられるか、アテネのコースを想定した上り下りの練習をしてきたかどうか、仕掛ける所を事前に決めているかどうかだ。女子ではラドクリフは故障などで体調が万全でなかったし、野口は脚がしっかりできて、25キロで仕掛けるという作戦を立てていたから勝てた。
ただ集団についていって…というのではダメだ。勝つ選手は自分から仕掛ける。世界選手権に2度出てペースメーカーのいないレースを経験している油谷が日本勢ではいちばん入賞に近いだろうが、メダルはどうだろうか。夏の五輪はなにが起きるかわからないとはいえ、上にいくには仕掛ける度胸が必要だ。
(ソウル、バルセロナ五輪代表、愛知製鋼監督)
★優勝オッズ
世界最大手のブックメーカー、ウィリアム・ヒルによる男子マラソンオッズは、28日現在でテルガトが2・75倍でトップ。2位は5倍のガリブ、3位は7倍のタイス。日本勢では国近が13倍で6番手でトップ。諏訪、油谷とも17倍で8番手。オンラインブックメーカーのベットフェアではテルガト(2・5倍)ガリブ(7・6倍)に次ぐ3位に9倍の諏訪が入る。国近は25倍の7位、油谷は45倍の15位となっている。
女子VTR スタート時の気温は35度という猛暑。15キロを過ぎると先頭集団は10人に絞られた。25キロ過ぎに野口がスパートすると土佐、坂本はついていけず後方に。36キロ過ぎでは世界記録保持者のラドクリフが涙の途中棄権。野口はヌデレバ(ケニア)にタイム差12秒まで迫られたが2時間26分20秒で優勝。土佐も5位、坂本も7位となり史上初の日本勢全員入賞を果たした。 |
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