【マラソン】みずき宣戦布告、Qちゃん破って世界選手権金
最強金メダリストは私! アテネ五輪の女子マラソンで優勝した野口みずき(26)=グローバリー=が26日、関西空港に凱旋帰国した。会見では、00年シドニー五輪金メダリスト・高橋尚子(32)=スカイネットアジア航空=とのゴールド対決を熱望。高橋とともに目標とする来年8月の陸上世界選手権(フィンランド・ヘルシンキ)で“女王決着”をつける。〔写真:一体どっちが強いんだ? 女子マラソン金メダルの野口は、高橋との“女王対決”を熱望した=撮影・渡辺大輔〕
◇
ごった返す関西空港到着ロビーが、金メダリストの凱旋とともに華やいだ。無数のフラッシュを一身に浴び、いつもの低姿勢で「おめでとう!」の声に何度も頭を下げる。そんな野口が“もう1人の女王”に宣戦布告した。
「去年の世界選手権(パリ)は2位だったので次は1位になれたらという気持ちはあります。高橋選手とはマラソンで1回も走ったことがないので、そういう気持ちもあります」
報道陣100人、テレビカメラ14台が集結した帰国会見に出席。世界を極めた野口だが、次なる目標も設定していた。それはアテネ五輪の代表から落選した00年シドニー金メダリスト・高橋尚子とのフルマラソン初対決だった。
野口を指導するグローバリーの藤田信之監督(63)は、今後のプランとして(1)来年のヘルシンキ世界陸上での金メダル(2)日本新記録樹立(3)08年北京五輪での女子マラソン2連覇…を挙げていた。それは言うまでもなく高橋との対決を示すものだったが、野口自身の口から対決を熱望する言葉が出たのは初めてだ。
「金メダルを手にしたときは涙がこみ上げてきそうな感動があった。今はマグロの刺し身が食べたいですね」
にこやかに金メダルを振り返る野口だが、「高橋を出しておけばよかった」という声を完全に封じ込んだのも事実。ファンにすれば「一体どちらが強んだ?」と新たな興味がわいてくるのも当然で、自らその答えを出そうとする“夢の対決”といえる。
来年8月のヘルシンキ世界陸上への意欲。藤田監督はすでに日本陸連に対して、五輪金メダルの野口に優先出場権を与えるように申し入れている。ただ、正式決定していないことで、この日は「野口が世界選手権を狙うなら選考レースに出ないといけない」と万全の準備を進めていく方針を表明した。
選考レースは11月の東京国際、来年1月の大阪国際、来年3月の名古屋国際の3つ。高橋は大阪国際をステップにする方向で、「大阪対決」となる可能性もあるが、やはり、新旧女王の激突は世界陸上の大舞台がふさわしい。
「強い人たちと走っていきたいと思っています」。女王ラドクリフ(英国)らがリタイアした壮絶なレースを制した自負がある。次は打倒Qちゃん−。最強女王は1人で十分だ。
(大沢謙一郎)
★野口の世界選手権代表は“当確”
アテネ五輪女子マラソンで優勝した野口みずき(26)=グローバリー=に対し、来年8月のヘルシンキ世界陸上(フィンランド)への優先出場権が与えられることが確実になった。
野口を指導する藤田信之監督(63)はすでにアテネ五輪前から日本陸連幹部に対して、五輪で金メダルを獲った場合は国内選考免除で世界陸上に出場させてほしいと申し入れていた。正式には今後の日本陸連理事会で諮られる。
(1)国内選考会が3レースだがマラソン出場枠は「5」ある (2)ラドクリフ(英国)、ヌデレバ(ケニア)らの強豪を破っての金メダルに陸連も最大級の評価 (3)野口が出場した場合はメダル獲得の可能性が高い−などから承認されることは濃厚となっている。
世界陸上は国際陸連の規則で前回大会の優勝者には特別出場権が与えられているが、五輪優勝者への出場権はない。そのため、従来、日本陸連は東京、大阪、名古屋の3レースの結果をもとに5人の代表選手を選出していた。野口に“五輪金メダル特権”が与えられれば初のケースとなる。
| ヘルシンキ世界陸上・マラソンコース |
|---|
| 52年夏季五輪のメーン会場だったオリンピック・スタジアムを発着点とするコースで、フィンランドの首都ヘルシンキの中心街を通って折り返す42・195キロ。比較的平らなコースだが、バルト海に面した海岸沿いの道が長いため、風の影響が大きい。39キロ手前から40キロ手前にかけての約1キロで20メートルを上る急坂がポイントになる。男子は8月13日、女子は大会最終日の同14日に行われる。 |
|
★尚子は今
恥骨炎の発症で9月26日のベルリン・マラソンを回避した。しかし、1キロを3分30秒前後で走れるまでに状態は回復している。今後も米コロラド州ボルダーでの合宿で完治を目指し、復帰レースの照準は11月の国際千葉駅伝。その後、世界陸上の選考レース、1月の大阪国際に臨む青写真を描いている。
★純ちゃんとナマ会談も
野口はまさに時の人。日本陸連にはすでに10件以上のテレビ出演(生出演も含む)依頼が舞い込んでいる。「物理的に無理な依頼以外はすべて出演してくださいと会社側にお願いしています」と陸連関係者。31日には東京都内で行われるJOC解団式に出席。その後は首相官邸で小泉首相と会談する予定。「どないなってるんか、さっぱり分からん」と藤田監督は目を丸くしていた。
★7位の坂本「野口さん追い越せるように頑張りたい」
女子マラソンで7位に終わった坂本直子(天満屋)は、金メダルを獲得した野口より早い便で関西空港に帰国した。「25キロで野口さんが仕掛けたときに、このまま野口さんが金メダル取るんじゃないかと思っていました。常に前に走られているので、目標にして追い越せるように頑張りたい」。03年大阪国際、03年パリ世界陸上でも野口に軍配が上がっていた。4年後の北京五輪でリベンジを期す。
★ラドクリフは1万でリベンジ?
22日の女子マラソンで棄権したポーラ・ラドクリフ(英国)が、27日の1万メートルにエントリーを済ませた。まさかの惨敗に終わった女子マラソン世界最高記録保持者だが、トラック種目でメダルに再挑戦するかは当日までに本人が決断する。英国オリンピック委員会のクレイグ・リーディー議長は「ここ数日のアテネは思ったほど暑くない。彼女が出場するならハイレベルなパフォーマンスを期待している」と話した。(長田拓也通信員)
|