22歳・ガトリン、薬物挫折乗り越え「世界最速」に

ガトリン=右 世界最速男が決定−。22日に行われた陸上男子100メートル決勝は、ジャスティン・ガトリン(22)=米国=が9秒85で優勝。2連覇を狙ったモーリス・グリーン(30)=米国=は9秒87で3位。決勝は8人中5人が9秒台のハイレベルだった。〔写真:大激戦の男子100メートル決勝。世界一の快足は新鋭ガトリン=右=だった=撮影・奈須稔



 1位9秒85、2位9秒86、3位9秒87…。五輪100メートル決勝で史上最多の5人が9秒台をマークした高レベルの接戦。制したのは22歳の新鋭ガトリンだった。

 「金メダルを獲るために、ここに来た。夢がかなった」

 3レーンからスタート。反応時間は0・188秒と8人中、最も遅かった。だが姿勢を低くした力強い蹴りでトラックをとらえ、中盤までに滑らかに加速して激戦の主導権を奪う。オビクウェル、グリーンの猛追をかわし、雄叫びをあげるように、大きく口をあけて派手にゴールした。

 陸上の強豪、テネシー大では全米学生でタイトルを積み重ねた。期待されたホープだったが、薬物問題で挫折も味わっている。01年にドーピング(禁止薬物使用)検査で陽性反応を示し、資格停止処分を受けた。

 集中力の持続が困難な病気「注意欠陥多動性障害」の治療のため処方された薬が原因だったことが証明され、処分は解かれた。しかし、次に違反すると永久追放になるリスクも背負ってトラックに復帰したという。

 疑惑を晴らすために、懸命なトレーニングを積んだ。そして“最速の男”に。「そのために生まれてきたし、そのために走り始めた。そのために生きている」。自信を取り戻した顔つきだった。

 ジャスティン・ガトリン 1982年2月10日生まれ。22歳。高校時代は障害などでも活躍し、テネシー大に進学。期待の新鋭で03年世界室内選手権の60メートルで優勝した。五輪代表選考会は100、200メートルとも2位だった。1メートル85、83キロ。


★連覇狙ったグリーン「少し残念」な銅

 舌なめずりをしながら、獲物を狙うような鋭い目つきで挑んだ。男子100メートルで2連覇を狙ったグリーンは、優勝したガトリンと0秒02差の3位。「少し残念だ。ラストの2ヤード(約1・8メートル)が難しく、抜くことができなかった」と悔しがった。

 かつては世界選手権3連覇など短距離界を席巻したが、昨年の世界選手権は屈辱的な準決勝敗退で王座から転落。完全復活を懸けた舞台で再びヒーローになることはできなかった。

 「ガトリンは素晴らしいレースをした。伸び盛りの選手だが、おれはまだ終わっていない。彼を簡単に君臨させるつもりはない」と闘志は衰えていなかった。

★日本勢は★

 100メートルで夢のファイナルを目指し、末続慎吾(ミズノ)と朝原宣治(大阪ガス)、土江寛裕(富士通)が参戦したが、末続と朝原は2次予選で、土江は1次予選で敗退した。10秒19で敗れた日本エース末続は「完敗です。相手が1枚も2枚も上」と話した。陸上短距離の世界の壁は厚い。

★女子100障予選、37歳ディバース故障棄権

 22日の女子100メートル障害予選でディバース(米国)は、スタート直後に棄権。一つ目のハードルの前であおむけに倒れて、手で左脚をおさえた。7日ほど前にふくらはぎの筋肉を痛めたことを明かした。この日も「最後のスタート練習でプチッと音がした。でも、カメラマンが狙っていたから、泣き叫ばないようにした」という。

 バルセロナ、アトランタ両五輪の100メートル金メダリストも37歳。今回は100メートルも準決勝で敗退しており、寂しい五輪になった。



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