【マラソン】「5000万円サポート」で野口金獲りだ
マラソン発祥の地で行われる注目の女子マラソンは22日午後6時(日本時間23日午前0時)号砲。マラソンの語源となったマラトン村をスタートし、第1回近代五輪が開かれたパナシナイコ競技場にゴールする、伝統のコースで熱い闘いが展開される。世界記録保持者ポーラ・ラドクリフ(30)=英国=が優勝候補に挙げられる中、日本勢は昨年パリ世界選手権銀メダルの野口みずき(26)=グローバリー=を筆頭に、若手の坂本直子(23)=天満屋、粘りの土佐礼子(28)=三井住友海上=の3人が金銀銅独占を狙う。〔写真:マラソンに出陣する日本3人娘。左から野口、土佐、坂本。4大会連続メダルを目指す〕
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日焼けしてすっきりした顔に自信がみなぎっている。銀メダルを獲得したパリ世界選手権から1年。パワーアップした野口みずきが悲願の世界一を目指す。1896年第1回近代五輪と同じコース。願ってもない舞台が整った。
「五輪発祥の地ということで思い入れがあります。こんなすばらしい所で走らせてもらえることに感謝して走りたいです」
コースの5キロ地点そばに一軒家を借り、コーチ、調理師、トレーナーら8人のスタッフでアテネ入り。中国・昆明とスイスの高級リゾート地サンモリッツで長期合宿を張り、給水ボトルを魔法瓶メーカーと共同開発するなど、五輪代表決定からの1年で5000万円超の巨費が野口に投じられてきた。間違いなく、今大会の出場選手で最高の高額支援体制だ。
周囲の期待を感じているからこそ、目標も明確だ。世界選手権後から、ファンにサインを求められると、色紙に「アテネでもメダル」と書いている。ハーフマラソンとトラックの1万メートルで自己ベスト更新、30キロロードで高橋尚子の日本記録を破るなど、練習計画も予定どおり。不安要素はまったくない。
「流れに乗って、タイミングいいところでスパートしたい。自分のスタイルで走りたいです」
パリではヌデレバ(ケニア)の後塵を拝した。アテネではラドクリフやオカヨも出てくる。ライバルは増えるが、小柄ながら鍛えた筋力で推進するストライド走法で真っ向勝負を挑む。大食で酒もいけるくち。レース後に備え、大好きなマグロの刺身はすでにアテネ市内の日本料理店に大量注文済みだ。もちろん、勝利の美酒とともに味わうために。
★痛みなし! 土佐はビビらずにいく
土佐は首をひねって言った。「マラソン前の練習で故障が一度もなかったなんて初めてです」。足首やかかとの故障で一時はあきらめかけていたアテネ五輪代表の座だが、根性の走りで最終選考会の名古屋国際優勝。あれから5カ月。足の痛みはウソのように消えていた。
「自信をもって、相手にビビらずにいこうかなと思います」。中国・昆明の起伏の激しいコースで脚力を強化してきた。上りも下りもスムーズに走れるフォームはアテネ向き。真夏の01年エドモントン世界選手権で銀メダルの実績もある。泣きながらでも、息を乱しながらでも、土佐はあきらめずにゴールを目指す。
★坂本は若さと勢いで
大阪国際で見せた5キロ15分台の爆発スパート。坂本には優勝を狙う力は十分にある。大きな目が自信たっぷりに輝いている。「思ったより熱くないし、路面の硬さも気にならないので、普段どおりに走れそうです」。
4月の米アルバカーキ合宿中に右ひざを痛めて、5、6月は練習を抑え目にしたが、7月2日から1カ月余り、米コロラド州ボルダーのさらに上のネダーランド(標高2400メートル)で猛練習を積んできた。先輩の山口衛里のシドニー五輪前合宿に帯同してから4年。大器が夢にみたスタートラインにつく。
★ラドクリフに不安説
女王に不安説が浮上した。現世界記録(2時間15分25秒)保持者のポーラ・ラドクリフ(英国)がドイツで足の治療を受けていたと英紙が報じた。ラドクリフ側はこの報道を否定。選手村で取材陣に「調整はすべてうまくいっている」と話したが、予定されていた16日の記者会見をキャンセルし、不安説が広がっている。
3月の世界クロスカントリー選手権を欠場し、ヘルニアの手術を受けたが、6月にはトラックの5000メートル、1万メートルで好走。スペイン南部で暑さ対策をして、アテネ入りした。
★ケニア勢はヌデレバよりオカヨが怖い
世界歴代2位の記録を持ち、昨年パリ世界選手権も制したヌデレバ(ケニア)の調子が上がらない。今季になってコーチが変わった。7月に札幌国際ハーフマラソンで5位惨敗、米国のロードレースでは日本代表補欠の千葉真子に後れをとった。「五輪ではベストを尽くして、勝てれば幸いです」と平静を装うが、日本陸上関係者は同国のオカヨを警戒している。02年ボストンと03年ニューヨークでヌデレバに勝って優勝。今年4月のロンドンも制した実力者だ。暑さに強いアレム(エチオピア)、ザハロワ(ロシア)、ハム・ボンジル(北朝鮮)も優勝戦線に絡んでくる存在だ。
★鈴木博美★
30度を超す暑さの真夏のレースは、まず当日の体調がいいことが大事です。7年前にこのコースで行われた世界選手権(優勝)の時の私は本当に絶好調で、暑さも、上りや下りのキツさも、後半の向かい風も全然気にならなかった。でも、ロバさん(エチオピア)が途中棄権したり、シモンさん(ルーマニア)が途中で嘔吐したりと、力のある選手でも体調を崩しているとダメでしたね。
今回のメンバーではラドクリフ(英国)と他の選手では力の差があります。彼女が最初から飛ばすとは思わないけど、10キロから32キロまでの上り坂は細かなアップダウンがあるので、力のない選手や体調の悪い選手が徐々に脱落していって、自然と早い段階で人数は絞られてきます。ラドクリフはヘルニアやふくらはぎの不安が伝えられていますが、夏の五輪もトラックで経験してるし、これだけ強い選手が出場してくる以上、簡単に負けるとは思えません。
ヌデレバ、オカヨも強いけど、日本選手も3人とも故障もなく調子が良さそうで楽しみ。野口さんはスピードがあるし、下りの走り方も克服したようなので、力では日本選手でいちばん。土佐さんのフォームはアテネのコースでも負担がかからない走りができます。坂本さん若いのに堂々としていて、スピードの切り替えもできる。全員が世界選手権の経験もあるし、アテネの日本選手団はすごいですからね、だれかが何色かのメダルを獲ってくれそうです。
(97年アテネ世界選手権女子マラソン金メダリスト、現姓・伊東)
★コース★
マラソン発祥のマラトン村をスタートし、アテネ中心部のパナシナイコ競技場にゴールする42・195キロで争われる。海沿いの海抜が低い場所から“天に近い都市”を意味するアクロポリスのあるアテネに向かうため、高低差が大きく、最大標高差は200メートル超。アップダウンも激しく、高気温が予想されるため、難コースといわれている
★天候★
女子マラソンのスタート時(現地時間22日午後6時)のマラトン村の予報は曇り、気温32度、湿度40%、北東の風7メートルの予報。気温は高いが、やや強めの追い風が吹くという。ゴール地点のパナシナイコ競技場の午後9時の予報は気温31度だが、ゴール予想の午後8時半頃は日も暮れており、暑さは和らいでいるはずだ。
★優勝オッズ★
世界最大手のブックメーカー、ウイリアム・ヒルによれば、女子マラソンの優勝オッズは21日現在でラドクリフが1・50倍で断トツの1位。2位はオカヨの7倍、土佐が8倍で3位と続いている。残る日本勢は野口が17倍で6位、坂本が21倍でアレムと並んで7位につけている。
★第10日(22日)の見どころ★
注目は陸上の女子マラソン。日本勢は野口みずき(グローバリー)坂本直子(天満屋)土佐礼子(三井住友海上)の3人が出場。男子ハンマー投げでは室伏広治(ミズノ)が悲願の金メダルに挑戦。世界最速男を決める男子100メートル決勝も実施される。
女子レスリングがスタート。72キロ級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)ら4人は全階級制覇を目指し、まずは1次リーグを戦う。
体操の種目別では、昨年の世界選手権を制したあん馬の鹿島丈博(セントラルスポーツ)が、この種目で日本選手初の金メダルを目指す。中野大輔(九州共立大)の床運動、冨田洋之(セントラルスポーツ)のつり輪にも期待がかかる。
ソフトボールは中国と対戦。五輪史上初の完全試合を達成したエース上野由岐子(日立&ルネサス高崎)が先発か。野球は1次リーグ最後の相手、地元ギリシャと戦う。
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