ハンマー投げ室伏、余裕の1投でさあ決勝「金」

室伏 陸上競技が本格的に始まり、男子ハンマー投げ予選で室伏広治(29)=ミズノ=は1投目で通過記録(78メートル)を上回る79メートル55を投げ、22日の決勝に進んだ。ライバルのイワン・チホン(ベラルーシ)は3投目で80メートル78、アドリアン・アヌシュ(ハンガリー)は1投目で79メートル59をマークして決勝進出。前哨戦を軽い肩慣らしで全体4位で通過した鉄人は、悲願の五輪金メダルに向けて、上々のスタートだ。〔写真右:ハンマーを振り回す室伏。放たれた放物線は、予選通過ラインを軽く超えた=AP。同下:1投で予選をクリアし余裕の表情の室伏。オレが一番だ=撮影・川村寧



室伏 超満員のスタンドに視線を送ると、父が右手を大きく上げた。グラウンドに立った室伏は、約10分間、ベンチで神経を集中させた。さあ、アテネでの第1投。手から放たれたハンマーが、アテネの青空に美しい放物線を描く。両手を上げたまま軌跡を見守る。79メートル55。いきなり予選通過ラインを超え、そのまま投てきを終えた。35選手中4位の記録で決勝進出だ。

 「いい投てきができたと思います。1投で(予選通過ラインを)超えたことが決勝につながりますし、いい感触でした。あとは自信を持って臨みたいと思います」

 自分の直後に投げた昨年のパリ世界選手権の金メダリスト、チホンの動向も気になった。1投で投てきを終えた室伏に対して、チホンは2投目まで予選通過ラインをクリアできなかったが、3投目に予選1位の80メートル78をマークした。

 チホンは5月7日にベラルーシの競技会で今季最高(歴代6位)の84メートル46を投げている。室伏の今季ベスト82メートル88は、今季の世界ランクでは5位。安定度なら世界一の室伏も、起伏の激しいライバルたちの“一発”と戦わなければならない。

 「シドニーの時とはまったく違った感覚です」。4年前は9位。2度目の五輪が近づくにつれ、冒険もした。昨年12月から5度も渡米。オレゴン大で名伯楽スチュワート・トーガー氏の指導を仰いだ。記録や優勝よりもハンマー投げの理想を追い求める姿に共感、サークル内の回転リズムを重要視し、父による一子相伝の教えを進化させた。五輪初代表の妹・由佳とともに11日から17日までチェコ・プラハで最終調整。その際にもトーガー氏を招き、万全の状態でアテネ入りした。

 わずか1投だが、手応え十分。決勝は22日。世界選手権では01年に銀、03年に銅色のメダルを獲った。アテネで求める究極の1投。その先に、目指す色のメダルがある。

 ◆父でコーチの室伏重信氏 「動きに余裕があって、非常にいい感じだった。サークルの感触を確かめながら(の投てき)だったと思う。ここ1週間、余裕をもった動きができて、まずますの状態できている」

★室伏の決勝試技順は10番目

 決勝(22日午後9時15分開始=日本時間23日午前3時15分)に進出した12人の試技順が20日決まり、金メダルを目指す室伏広治(ミズノ)は10番目となった。昨年の世界選手権優勝のイワン・チホン(ベラルーシ)が最後の12番目。同2位のアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)は9番目となった。

 決勝は3回の試技で上位8人に絞られ、3回までの記録の低い順にあと3回投てきを行う。

シドニー屈辱VTR
 4年前。メダルの有力候補とみられていた室伏は、予選を全体3位の78メートル49で楽々と通過した。が、決勝では、雨で濡れたサークルに足を滑らせ苦闘。3投目を終えて76メートル60にとどまり、記録上位者8人による4投目以降に進むことができず、9位に終わった。

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