北島康介がアテネ入り直前に“世界新”マーク
【アテネ10日=結城 正】本番直前に“世界新”だ。競泳代表のうち、男子平泳ぎの北島康介(21)=東京SC=ら序盤に試合のある第1班がイタリア・サルデーニャ島での最終合宿を打ち上げ、アテネ入り。北島は9日夜の合宿最後の練習で、世界記録を上回る100メートル“58秒77”の好タイムをマーク。金メダル獲得に弾みをつけた。〔写真左:イタリア合宿の最終練習で、世界記録ペースの快泳を見せる北島康介=撮影・川村寧。同下:快記録をマークした北島は、プールから上がって上機嫌。やっぱり康介は世界一だ=撮影・川村寧〕
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時計の数字は、世界記録をはるかに上回っていた。58秒77。ストップウオッチを押した平井伯昌コーチの声が弾んだ。「ひとつの練習だけで判断できないが、最後の最後で手応えを感じられた」。北島は、やっぱり金メダル候補筆頭だ。
一応、この仰天記録のタネ明かしをしておこう。50メートルプールを、インターバル(1分間)を挟んで往復したタイムトライアル。本番同様にスタート台から飛び込み、まず50メートルを泳いで、28秒37。蹴伸びスタートで後半の50メートルを泳いだ記録が、30秒40。足せば100メートルを58秒77で泳いだことになる、というわけだ。
現在の世界記録は、7月にブレンダン・ハンセン(米国)が北島の記録を抜いて樹立した59秒30。今回のタイムは、これを0秒53も上回る。もちろん、単純に比較はできない。電子時計よりタイムが早く記録される手動時計での計測。インターバルをはさんでスタミナは回復している。ターンによるロスタイムが省かれていることを考えあわせれば、0・6〜0・7秒加える必要がある。
でも、バカにしてはいけない。このタイムは、今まで北島が練習で出した中では、最速だ。世界新を樹立して金メダルに輝いた昨年の世界選手権(バルセロナ)の前でも「59秒6ぐらいだった」(平井コーチ)。となれば、この調子をキープすれば、五輪でも世界新での金が見えてくる。
北島は、4月の日本選手権で自己記録を更新できず、6月の欧州GPローマ大会では100、200メートルともに敗れ、その後、ハンセンに自己記録を抜かれた。金メダルに黄信号がともったかに見えたが、そうではない。6月以降は200メートルで力を発揮する大きなストロークの泳ぎを追求、今回の最終合宿では100メートル用のピッチ泳法で調整して、その結果が出た。14日の競技初日の直前に、好調を裏づける数字をたたき出してみせた。
全身の毛を剃って水の抵抗を少なくする処理はまだしていない。本番なみの極限の精神状態でもない。それでもこの数字。まだ、上がり目はある。ということは−。
この日、アテネ入り。本番プールでの最終練習を経て、本番へ向かう。「やっぱり金メダル。五輪では(世界記録保持者の)ハンセン以上の記録を狙う」と話す北島。どうやら、五輪での快挙が見えてきた。
| ■北島苦闘メモ■ |
| ★低迷 |
五輪選考会を兼ねた4月の日本選手権100平、200平で優勝。しかしそれぞれ1分0秒39、2分10秒70と自己ベストを更新できず |
| ★敗戦 |
6月の欧州GPで2大会に出場。バルセロナの100平は1分1秒11で制したが、ローマでは200平で2位、100平で3位と連敗 |
| ★記録 |
7月に米国の新鋭ハンセンが100平を59秒78、200平を2分9秒04で制覇。北島の持つ世界記録が一気に2つとも破られた |
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| ★北島・ハンセンのベストタイム比較★ |
| 北島 康介 |
名 前 |
ブレンダン・ハンセン |
| 59秒78 |
100平 |
59秒30 |
| 2分9秒42 |
200平 |
2分9秒04 |
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| ★男子100メートル平泳ぎ今季世界ランク★ |
| 順 |
名前 |
所属 |
記録 |
| (1) |
ハンセン | 米 国 | 59秒30 |
| (2) |
ミュー | 英 国 | 1分0秒02 |
| (3) |
北島 康介 | 東京SC | 1分0秒39 |
| (4) |
ギブソン | 英 国 | 1分0秒50 |
| (5) |
デュボスク | フランス | 1分0秒84 |
| 世=ハンセン | 米 国 | 59秒30 |
| 日=北島 康介 | 東京SC | 59秒78 |
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| ★北島の五輪出場日★ |
| 日 |
種目 |
| 14 |
100平予選 準決勝 |
| 15 |
100平決勝 |
| 17 |
200平予選 準決勝 |
| 18 |
200平決勝 |
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★地元・荒川区から応援団出発
北島の実家がある東京・荒川区民応援団の第1陣が10日、成田空港からアテネへ出発した。藤澤志光区長や菅谷安男区議会議長ら32人が、「めざせ金メダル、北島康介選手がんばれ!」と染め抜かれたそろいのTシャツを持参。荒川の英雄をバックアップする。
★日本チーム準備は万全
「事前準備は完ぺきにできた」と、上野ヘッドは満足そうに振り返った。この日は北島のほか女子背泳ぎの中村礼子(日体大)もタイムトライアルで好記録をマーク。他の選手も順調に仕上がり「準備は万全で出陣できる」と手応え十分だ。
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