世界のスーパースター(1)
“怪物”フェルプス、前人未到の“8冠”に挑戦

マイケル・フェルプス  アテネ五輪で注目されるのは、日本選手の活躍だけではない。世界各国から超一流アスリートが集まるスポーツの祭典で、最高のパフォーマンスを演じるために腕をぶすスーパースターたちを紹介していく。まずは、競泳で今大会の主役といわれる“怪物”マイケル・フェルプス(19)=写真=米国。アテネでは、前人未到の“8冠”に挑戦する。

★何度も自己の世界記録を更新

 19歳の怪物フェルプスが、五輪史上初の快挙に挑む。過去の五輪で全競技を通じて、1大会最多の金メダルを獲得したのは、米国競泳界の英雄マーク・スピッツ。72年ミュンヘンで、個人4、リレー3の計7冠を獲得した。フェルプスは、アテネで個人5種目への出場を予定。リレー3種目ともに出場して勝てば8冠。スピッツの記録を32年ぶりに抜くことになる。「不可能なことがあるとは思いたくない。スピッツの記録に挑戦したい。水泳界を変革したいんだ」

 米国チーム最年少の15歳で出場したシドニー五輪は200バタで5位だったが、その後、得意の個混をはじめ、何度も自己の世界記録を更新してきた。昨年の世界選手権(バルセロナ)では、4種目で世界新5度。今月の五輪代表選考会でも、米国史上初の個人6種目で出場権を得た(1種目は出場辞退)。

 長い手足をしならせた天性の泳ぎは、平泳ぎ以外はすべて世界トップ級。まだ若いこともあり、筋力トレーニングには頼らない。テレビゲームが大好きで、試合ではレース前までヘッドホンでヒップホップを聴く今どきの若者。プール外でも、歯にきぬ着せぬ強気なコメントをふりまくのも、若さの特権か。

★ソープと200自で直接対決が濃厚

 00年シドニー五輪3冠の競泳界のスター、イアン・ソープ(21)=豪州=もアテネに参戦する。フェルプスは200メートル以内の短距離型で、ソープは200、400、800自が得意。両者は200自での直接対決が濃厚だが、19歳は自信に満ちあふれている。時代はソープからフェルプスへ−。

 五輪代表選考会でフェルプスと対面したスピッツ氏は「彼はやってくれるだろう」と後継者の快挙に太鼓判を押す。「何でもできる」と言い切る怪物が、言葉通りに大仕事をやり遂げたとき、近代五輪発祥の地で、五輪の歴史が変わる。

★マイケル・フェルプス
 1985年6月30日、米メリーランド州ボルティモア生まれの19歳。水泳は7歳から。15歳でシドニー五輪米代表入り。同五輪200バタ5位。01年に男子史上最年少の15歳9カ月で、世界新記録を樹立(200バタ)。200バタ、200個混、400個混、400混継の世界記録を保持。18歳でプロ選手となる。1メートル87、79キロ。

★快挙への道★
スピッツ フェルプス
100自400個混(14日)
200自400継 (15日)
100バタ200自 (16日)
200バタ200バタ(17日)
400継800継 (17日)
800継200個混(19日)
400混継100バタ(20日)
 400混継(21日)
(注)スピッツはミュンヘン五輪金メダル種目で、フェルプスはアテネで出場が見込まれる種目。かっこ内は決勝日ですべて8月

★過去の五輪多冠

 1大会ではスピッツの7冠が史上最高だが、複数大会の通算では9個が最高。こちらもスピッツが記録しているほか、陸上男子のカール・ルイス(米国)もロサンゼルスからアトランタまでの3大会で通算9個の金メダルを獲得している。日本では、体操男子の加藤沢男がメキシコからモントリオールまでの3大会で計8個の金を獲得したのが最高。

 競泳の1大会でスピッツに続くのは女子のクリスチン・オットー(旧東独)で、88年ソウルで個人4リレー2の計6個を獲得。冬季では、スピードスケート男子のエリック・ハイデン(米国)が80年レークプラシッドで全5種目制覇の偉業を達成している。


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