エース北島に引っ張られ、男子混継有終の銅
お見事、有終! 競泳最終種目の男子400メートルメドレーリレー決勝で、平泳ぎ2冠(100、200)の北島康介(21)=東京SC=がエースとして引っ張った日本は、日本新記録となる3分35秒22で銅メダルを獲得した。日本男子がリレーでメダルを獲得したのは、64年東京大会の800銅メダル以来、40年ぶり。記録づくし、快挙続きだった五輪をしめくくった北島。日本競泳史上、五輪同一大会で個人最多の3個のメダルを手に、新たな目標に向かって泳ぎ出す。女子は4分4秒83で、5位だった。〔写真:3位を守った最終泳者の奥村=右端=を迎え、日本チームは銅メダル獲得の喜び爆発=撮影・塩浦孝明〕
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完全燃焼する。競泳の最終種目、もう余力は残さなくていい。平泳ぎ2冠王・北島にとって、個人でみせたような駆け引きもいらない。とにかく早く。チームのために。必死に、前に向かってガムシャラに腕をかき、足を蹴った。
銅メダル。昨年の世界選手権(バルセロナ)でも同種目で銅メダルを獲得しているが、やはり五輪のメダルは輝きが違う。自身にとっても、チームにとっても、最高にハッピーなアテネのラストレースだった。
意気は上がっていた。第1泳者の森田は、100背銅、第3泳者の山本は、200バタ銀。そして何より、第2泳者の北島が、平泳ぎ2冠。参加国のどこよりも最速のエースを擁した。メダリストが3人。日本にとって、史上最強メンバーだ。チーム一丸の思いを込めて、4人は丸刈り頭にそろえた。まず、森田が公認記録となる最初の背泳ぎで54秒25の日本新を出して弾みをつけると、引き継いだ北島はメダルの誇りにかけて、後続への“貯金”をかき集めた。
前日の女子800メートル自由形で、競泳女子史上初めて自由形のメダルを獲得し、ミラクル金メダリストとなった柴田亜衣を指導する田中孝夫コーチ(56)は、柴田の勝利について、こう振り返る。「今回は北島選手が『防波堤』になってくれていたので、柴田は陰に隠れて、過度のプレッシャーにさらされずに済んでいた」。北島は、柴田の金獲得にも、ひいては戦後最多のメダルを獲った日本競泳陣にも一役買っていた、というわけだ。
そして、このチームのメダルの“原動力”にもなった。森田は「もっともっと速くなって、コウちゃん(北島)だけといわれないようにしたい」。追いつけ、追い越せ。目標となり、しるべとなった。
さあ、北島もさらに進化する。五輪開幕前、昨年の世界選手権で世界新を出して2冠を獲得。パーフェクトな勝ち方を背負って迎えたこの五輪で、現役世界記録保持者ブレンダン・ハンセン(米国)との直接対決に連勝。アテネ入りしてからも「特に変わった心境はない」と平常心を保ち続け、公言通りの個人2冠。さらに、リレーで3個目のメダル。五輪で心の強さも身につけた。
五輪王者として、今後も世界中からマークされることは間違いない。だが、最高の形で幕を閉じた北島も、大きな成長を遂げた。次なる戦いへ。堂々と前進する。
★データBOX★
▼競泳男子がリレー種目でメダルを獲得したのは、64年東京大会の800メートル以来、40年ぶり8度目。400メートルメドレーリレーでは、60年ローマ大会の銅メダルに続いて通算2度目。競泳女子は00年シドニー大会の400メートルメドレーリレーで3位に入り、唯一のメダルを獲得している。
▼競泳は全日程を終え、日本は男女合計で8個のメダルを獲得。56年メルボルン、60年ローマ両大会の5を超えて戦後最多記録を更新し、金メダル3個も72年ミュンヘン大会の2個を超える戦後最多となった。歴代最多は32年ロサンゼルス大会の12個(金5、銀5、銅2)となっている。
▼第9日の21日を終えて、日本のメダル獲得総数は22個(金12、銀5、銅5)で、日本歴代7位に浮上。今大会はまだ8日間を残していて、史上最高の84年ロサンゼルス大会の32個(金10、銀8、銅14)にどこまで迫れるか。
★女子は6位、田中と大西は「最後の力泳」
女子400メートルメドレーリレー決勝で、日本は6位。シドニー五輪銅に続く2大会連続メダル獲得はならなかった。シドニーのリレーメンバーでもあった平泳ぎの田中雅美、バタフライの大西順子にとっては、集大成の五輪。田中は、同じく4年前のメンバーで、今大会は代表落ちしたシドニー五輪銀メダリスト、中村真衣からもらった激励の手紙の言葉を胸に、臨んでいた。メダルには届かなかったが、「最後と思って必死に泳いだ」。仲間のためにも完全燃焼。悔いを残さずに泳ぎ切った。
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