【水泳】北島圧勝2冠! 歴史を開き北京でも狙うW連覇

北島康介が2冠 歴史的金字塔だ。競泳男子200メートル平泳ぎ決勝で、北島康介(21)=東京SC=が、2分9秒44の五輪新記録で金メダルを獲得、100平に続く2冠を達成した。日本の競泳選手が、五輪同一大会の個人2種目で優勝するのは、史上初の快挙。競泳ニッポン史上最強男は、08年北京五輪でも2冠連覇を狙う。〔写真:トップでゴールした北島は、拳を握って雄叫び。後方のハンセンはぼう然だ=撮影・川村寧



 来いよ、来い! 会場の応援団のボルテージが最高潮に達した。夢へ向かって、北島が進む。準決勝1位のジュルタ(ハンガリー)が、世界記録保持者のハンセン(米国)が、北島を追う。50メートルのターンで早くもトップ。行け、行ってくれ!! 1億国民がテレビ画面に念力を送る。来た、来たっ!! 2位のジュルダを体ひとつリードしてゴールへ。勝った。五輪新記録の圧勝劇。100に続いて、200でも五輪を制した。

 「ボクの人生の中で、一番ハッピーです」。勝利の拳を突き上げたヒーローの笑顔が弾ける。「会場と日本で応援してくれた人に、自分の泳ぎを見せたかった。100に比べて気持ち的に楽だったので、冷静に泳げた」。100で優勝した時に流した涙はない。表彰式では、この日も胸を張って君が代を歌った。

 2冠。「意識していなかった」という言葉とは裏腹に、こだわりがあった。「100は終わった。200も狙う」。15日に獲得した1冠で浮かれることはなかった。五輪1大会で2つの金メダルを獲った日本人スイマーはいない。「だから、獲りたいんです」。柔道の吉田秀彦やスピードスケートの清水宏保ら各界の五輪王者と親交を深めて戦い方を学んだ男は、「強い気持ちをもっていく」と宣言し、偉業へ立ち向かった。そして空前の快挙を成し遂げた。

 生まれついての水の申し子だった。東京SCの初心者教室で水泳を始めたのは5歳だが、人生初のプール体験は3歳。東京・船の科学館のプールに、家族で遊びに行った。父・富士男さんにふざけて何度も水中に投げ入れられたが、北島によると「全然、泣かなかったらしいですね」。むしろ大喜び。初めての出会いから水は友達だった。

 北島のひざ関節は、逆側に大きく曲がる。陸上で走るときなどは、ぐにゃりと曲がって不利になる。高校の体育の授業でサッカーをした際、走って足首の骨を折ったこともある。「陸上に上がると、けがばっかりです」。だが、水中では、可動域が広い足が武器となる。くつのサイズは27センチで、35センチ以上あるイアン・ソープ(豪州)のように大きくはないが、水をとらえて推進力に変える力は世界一。水中では誰にも負けないと信じて、この日まで泳ぎ続けた。

 7歳5カ月の時、東京SCのC級大会で、初めて順位のつくレースに出た。50メートル平泳ぎは54秒30で4位。昨年7月の世界選手権(バルセロナ)での2冠を経て、21歳11カ月の今、五輪で2つも1位になった。14年6カ月で夢にたどり着いた。

 平井伯昌コーチは言う。「アテネが完成形。この後、北京もある」−。北島は、まだまだ強くなる。水泳王の伝説は進行中。2つの王座は、4年後の北京五輪まで、誰にも譲る気はない。

結城正


★データBOX★

 五輪の男子平泳ぎで100、200を制して1大会2冠を獲得したのは、00年シドニーのフィオラバンティ(イタリア)のみで、北島は史上2人目となる。女子では96年アトランタにヘインズ(南アフリカ)が達成している。なお、平泳ぎで200と400の2種目が行われていた時代もあり、この2冠を達成しているのは12年ストックホルムのバーテ(ドイツ)と20年アントワープのマルムロト(スウェーデン)だけ。

★100メートル劇勝VTR★

 北島5コース、ハンセン4コース。北島のリアクションタイム(号砲から台を離れるまでの時間)は、0・72とまずまず。前半50メートルは28秒26で、ハンセン、デュボスに続く3位で折り返し。だが、ターン直後にトップをとると驚異のスパート。ハンセンも必死に追い上げ、最後は水のかき合いに。北島はタッチがピタリと合い、ハンセンに0秒17差で優勝した。

★次は混継メダルを

 北島にはまだ期待の種目がある。男子400メートルメドレーリレー。背泳ぎ−平泳ぎ−バタフライ−自由形の順番で4人が100メートルずつリレーする種目で、20日予選、21日決勝。日本は、第1泳者が100背銅メダルの森田、2泳が北島、3泳が200バタ銀メダルの山本、4泳が100自予選で日本記録を更新したばかりの奥村…と最強メンバーとなった。体操のように“団体戦”でも成果を挙げられるか。エース北島の泳ぎがカギを握る。

★メールでリポート

 北島は日体大体育学部4年生。遠征が多いためほとんど大学には通えないが、メールで教授とやり取りして講義やリポート提出の代わりとしている。大学では運動方法水泳研究室に所属。背泳ぎ女子代表の中村礼子も同級生で、同じ研究室にいる。

 来春に向けての卒論は五輪終了後に執筆にかかる予定で、テーマは「平泳ぎの技術に関すること(仮題)」。教職課程もとっており、五輪終了後の秋には教育実習に出ることも予定している。ちなみにこの課程を修了してなれるのは、中高の保健体育の先生。


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