【水泳】フェラーリの加速、19歳・森田がミクロの差で銅!
男子100メートル背泳ぎ決勝で、森田智己(19)=セントラルスポーツ=が、54秒36の日本新記録で銅メダルを獲得した。日本男子競泳チーム最年少&最小兵(身長1メートル69)が、五輪の舞台で大仕事。前日(15日)の男子100メートル平泳ぎの北島康介(21)=東京SC=に続く、今大会競泳陣2人目のメダリストとなった。〔写真:銅メダルを獲得した森田。拳を握って喜びを爆発させた=撮影・川村寧〕
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来たっ。巨漢の外国人選手の中で、ひときわ小さな森田が、来た。前半の50メートルは6番手でターン。そこから驚異的な追い上げを見せた。全身をフルに使ってゴールを目指す。推進力は衰えない。懸命にゴール板に手を伸ばすと、掲示板の3番目にMORITAの名が。4位の世界記録保持者・クレーゼルバーグ(米国)との差はわずか0秒02。スタンドで見守っていた北島に続く、連日のメダリスト誕生だ。
「ラスト10メートルでフェラーリの加速のつもりで行け、と言われていた。最後にかけていました」
19歳。耳にはピアスの穴が開いている。モヒカン、虎刈り…よく髪形を変える。怖いものなしの若者の目にも、思わず感激の涙がこみあげた。
男子100背といえば、88年ソウル五輪金メダリストの鈴木大地の名が思い浮かぶ。森田の師匠は、あの大地を育てた鈴木陽二氏(54)。高校卒業後から本格的に指導を受け、実力を伸ばした。が、泳法は偉大な先輩のコピーではない。ソウル五輪のビデオを観ることはあるが、「面白いなって、いう程度。参考にはしません。ボクはボクでやることがある」と自分を貫く。周囲から「大地は水を切って泳ぐが、森田は水に乗って泳ぐ」と比較される独自のスタイルを身に付けた。
小兵でもやれる。プロレス好きの森田は、米WWEのレイ・ミステリオに熱視線を送ってきた。自分より身長が2センチ低い公称1メートル67の小さな体で縦横無尽に跳び、大型選手と死闘を演じるファイター。「小さいのにスゴイな、と思って」。ミステリオのように技術を磨き、五輪の大舞台で海外大型選手を蹴散らすパフォーマンスを見せた。
勝利のゴール時や表彰台で演じるガッツポーズは、「勝ったら、こうやろう」と、いつも先に考えている。北島のスタート動作や米大リーグ・マリナーズのイチローの打撃フォームなどのモノマネをして、周囲から喝采を浴びるパフォーマー。一流のアスリートをよく観察している証拠でもある。これも、メダル獲得に至った一因といえないだろうか−。
「鈴木先生の作戦をやることだけを考えていました。もっともっと速くなって、コウちゃん(北島)だけじゃないというのを見せていきたいです」。2歳年上の英雄、北島にも負けない。日本競泳界にニューヒーローが誕生した。
(結城正)
| 森田 智己(もりた・ともみ) 1984(昭和59)年8月22日、宮城・富谷町出身の19歳。東北高を卒業し日大経済学部1年。02年パンパシフィック選手権100背で3位、昨年の世界選手権は100背は6位、400混継メンバーとして銅メダルを獲得した。五輪代表選考会では、背泳ぎ3種目ですべて日本新記録を出した。1メートル69、65キロ。 |
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▼水泳 2歳からベビースイミング。背泳ぎ専門となったのは10歳ごろから
▼憧れ キング・カズこと三浦知良に憧れる。「すべてがカッコいい」。闘莉王も好きで、一時は同じような髪形にしていた
▼趣味 プロレス好きで全日本の武藤敬司のファン。「プロレスLOVE」のポーズを表彰台の上でマネたこともある。少女マンガも好きで、愛読作品は「ナナ」
▼帯同 テレビゲームは好きだが、以前、海外遠征で持っていったら、飛行機の中で一睡もできなかったので、今は持っていかないようにしている。今回は、米プロレスのDVDを持参
▼髪形 以前はパーマの長髪だったが、最近ではソフトモヒカン、虎刈りなど奇抜なスタイルに。合宿中に、北島康介や森隆弘に切ってもらうことが多い
★リレーもメダルだ
日本競泳チームに楽しみができた。競泳最終日21日が決勝の男子400メートルメドレーリレー。メンバーには、平泳ぎ世界一の北島、そして背泳ぎのメダリスト森田が揃った。昨年7月の世界選手権の400混継で、日本チームは銅メダルを獲得している。ということは、可能性ありだ。第1泳者は森田。日本の切り込み隊長として、期待してよさそうだ。
★中村礼子は惜しい! 4位
女子100メートル背泳ぎ決勝で、中村礼子(日体大)は惜しくもメダルを逃した。1分01秒05の4位。準決勝は全体8位でぎりぎりの決勝進出だったが、3位とは0・17秒の差に「悔しいです」を連発。北島と同じ平井コーチに弟子入り。この日は師匠から、平常心で戦うため手に「余裕」と書いてもらっての力泳だった。得意の200メートル(20日決勝)を残すが、「レース勘はつかめた。200メートルは絶対いいレースができる」と自信を深めていた。
★「世紀の対決」三つどもえ男子200自はソープが制す
「世紀の対決」と注目された男子200メートル自由形決勝で、イアン・ソープ(21)豪州=が世界記録保持者の貫録を見せつけた。1分44秒77の五輪新記録で優勝。念願だったこの種目の五輪覇者となり、400メートル自由形に続く今大会2個目の金メダルを手にした。
3コースには「怪物」マイケル・フェルプス(19)=米国=が控え、4コースで連覇を狙うピーター・ファンデンホーヘンバント(26)=オランダ=は絶好調を公言していた。3強による大接戦となったが、ソープはゆったりした泳ぎに、力強さを加えて競り勝った。
100、200、400メートル自由形の五輪3冠。誰も成し遂げたことのない快記録達成まで、あと1種目となった。
★男子200バタの山本は全体4位で決勝へ
男子200メートルバタフライ準決勝で、昨年の世界選手権(バルセロナ)銀メダリストの山本貴司(近大職)が、1分56秒69で全体4位で17日の決勝に進出した。準決勝に先駆けた予選では1分57秒36で全体1位。多冠を狙うフェルプス(米国)と同タイムの快泳。「自分のペースを守った泳ぎができた。決勝では100から150メートルのところを改善したい」。決勝の舞台で、怪物退治を実現してみせる。
★天野美沙“高校最後の夏”は終わる
女子200メートル個人メドレー予選で、高校生代表の天野美沙(桐蔭学園高)は、2分17秒88の17位で敗退。全出場種目終了で“高校最後の夏”が終わった。「これだけ練習してきても、世界の人たちと泳ぐだけでビビッちゃってる。それが反省点です」と、うつむき気味。高校に戻れば水泳部女子の主将だが、高かった世界の壁。それでも、「4年後まで、やることをやってがんばりたい」と、北京五輪での雪辱を期していた。
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