六回、三盗を決める阪神・近本光司=甲子園球場(撮影・水島啓輔) (JERA クライマックスシリーズ セ ファイナルステージ、阪神2-0DeNA、第1戦、阪神2勝、15日、甲子園)光の速さで阪神・近本がグラウンドを駆けていく。DeNAも、スタンドのファンも目を丸くした。これが虎のリードオフマン。その足が難敵・東を搔き回し、勝利への道を切り開いた。
「(三盗は)勇気が必要でした。盗塁や走塁は流れが変わるもの。そういう走塁ができたらいいなと思っていた」
六回1死二塁。二走で迎えた好機で、相手の虚をつく好判断と俊足が光り輝いた。森下の初球でスタート。この大舞台でこの大胆な決断は「バッチリはまりました」と準備のたまもの。悠々セーフで会心の自身ポストシーズン初三盗を決め、森下の中前打で先制のホームを踏んだ。
その先制劇も近本の足から。六回先頭の第3打席、東の146キロに食らいついた。三遊間深くで弾んだ打球に全力疾走。前日14日の全体練習後、「バットに当てること。それを頑張ります」と話していたリードオフマンは宣言通り、執念の遊撃内野安打で難敵左腕に風穴を開けた。犠打で二進し、そして衝撃の三盗-。己の足でもぎ取った1点に天を見上げて白い歯をこぼした。
今季も32盗塁で4年連続6度目の盗塁王を戴冠した。今年11月で31歳。当然、足自体に衰えはくるが走塁技術は円熟味を増す。今季のレギュラーシーズン最終戦となった2日のヤクルト戦(甲子園)でも学びがあった。
青柳から一回に二塁打を放つも三盗をためらったことに「ああいうので僕らはびびる。投げられなくても、無意識に止まっちゃう。それでもいっちゃえっていうのが、結構大事。ヤギ(青柳)さんのときにそれが分かった」。貪欲に高めてきた意識、そして準備がここ一番での三盗へとつながった。
勝負のターニングポイントともいえる三盗。藤川監督は「よく分かりませんでしたね。驚いた? そうですね」と勇気ある決断を振り返った。DeNAの勢いを止め、虎を勢いづかせた切り込み隊長の足。リードオフマンは冷静に次戦を見る。
「(初戦勝利は)めちゃくちゃでかいと思いますよ。でも、そのでかさは(CSを)突破してから分かること。またあしたも試合なので全員で楽しくやっていけたらなと思います」
このまま日本一まで突っ走る。猛虎打線の先頭に立つ近本の足は止まらない。(原田遼太郎)