プロ2年目のシーズンは、悔しさの残る結果となった。9月5日、リーグ優勝を間近に昇格し、即登板で1回無失点と結果を残した阪神・石黒佑弥投手(24)。しかし、その1試合のみで登録を抹消された。やりきれない思いもあったはずだが、SGLで練習に励む右腕は笑顔で前を向いていた。
「仕方ないですよ。投げなくて落ちることもあったので、投げられただけでも良かったです。来年以降はもっといっぱい1軍で投げて、チームに貢献して優勝を経験したいです」
JR西日本から2024年にドラフト5位で入団し、1年目は球団の新人一番乗りで1軍デビューを飾った。今季は開幕1軍入りを果たしたが、4月上旬に2軍に降格。それでも6月5日に2度目の昇格を果たすと、同日の日本ハム戦(エスコン)では九回に登板して3者連続三振の快投を披露した。その後も3試合連続無失点投球と好投を続け、2年目での飛躍を予感させた。
しかし、結果を追い求める中で体の異変に気付くのが遅れた。腰の張りを無意識にかばううちに脇腹を痛め、筋損傷を発症。無念の離脱となった。
「まだまだ体のセンサーが悪いですね。去年よりは1軍で多く登板できてチャンスをもらえた中で、中盤にけがをしてしまった。それが今年一番悔いが残ることです」
多くの時間を費やしたSGLでのリハビリ期間。気持ちが沈みがちな日々の中、石黒を支えたのは応援してくれるファンの存在だった。応援タオルを持って来てくれた人たち、ウオーキングをしているときにかけてくれた「頑張れよ」の一言、差し入れの中に添えられたファンレター、そのすべてが力をくれた。昨年過ごした鳴尾浜よりも、ファンとの距離がぐっと近づいた2軍新施設。そこでの時間が、1軍の舞台への思いをより強くした。
「熱心に応援してくれる方もいる中で、ふがいない結果は出せない。応援してくれている人に自慢できる選手になりたいって思いましたね」
長いようで一瞬で過ぎていった2025年シーズン。思い描いていた1年ではなかったが、けがをしたからこそ得られたものも確かにあった。石黒は自身の体と向き合った時間を「次のステップのための1年になったかな」と捉える。
「1軍での実績はまだまだないので、毎年キャリアハイを目指せるように頑張りたい」
高く飛躍するための〝ため〟の時間を経て、ポストシーズンを迎えた。カクテル光線に照らされた甲子園のマウンドに、再び挑む準備は整っている。(萩原翔)