ケース打撃を試みる森下。経験がないと言いつつ、見事に決めた=日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎(撮影・根本成) 必勝モードで人生初バント! 阪神の秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」に参加しないメンバーが7日、2軍本拠地の日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎で実戦形式のケース打撃を行った。主軸勢も犠打を試み、森下翔太外野手(25)は2度とも成功。アマチュア時代も含めて実戦でバントをした経験が一度もないという男が、絶対に負けられないクライマックスシリーズ(CS)へ向け、覚悟と器用さを見せつけた。
佐藤輝が、大山が、走者を送れずに苦笑いを浮かべる。慣れているはずの近本や中野でさえミスをしたが…。そんな中、森下は成功率10割だった。経験がなくたって関係ない。ここまで来たら決めるだけ。投手が振りかぶると同時にバットをサッと横に寝かせ、きっちりと白球を転がした。
「サインが出たらやるだけ。そのために準備をしておけば。いつ(サインが)出ても大丈夫!」
力強かった。ケース打撃で5打席に立ち、まずは2打席目だ。三塁ベースコーチを務めた山崎2軍内野守備走塁コーチのサインに反応。茨木の投げた球を一塁線に転がした。4打席目は三塁線へ、セーフティー気味に絶妙のバントを決めた。
「もうフィーリングというか、感覚じゃないですか。なんとなくイメージだけは(できた)」
明るく振り返ったが、覚悟は決まっていた。入団してからの3年間で犠打はゼロ。アマチュア時代も含めて、実戦でのバントは「したことないです。そんなん(自分にサインは)出ないでしょ」と堂々と語る。バントとは無縁の野球人生を歩んできた。
小学1年から野球を始めて、中学時代は名門の「戸塚リトル」の主軸。野球強豪校で知られる東海大相模高でも1年夏から「4番・中堅」でレギュラーとなり、高校通算57本塁打。中大では1年春からレギュラーと、正真正銘の野球エリートだった。
「まあまあまあ、練習ではもちろんやったことあるので」
今季、森下に求められたのは勝負強いバッティング。送りバントのサインはなかったが、CSのような短期決戦は一つの局面が運命を分ける。近本、中野の1、2番が出塁。後ろには球団の生え抜きでは史上3人目となる40本塁打&100打点を記録した佐藤輝がいる。どうしても1点が欲しい場面で、3番の森下にバントのサインが出ないとは限らない。