3日のヤクルト戦で2点適時三塁打を放つ巨人・泉口友汰 巨人担当の11年間で、いろいろな選手の新人時代を見てきた。泉口友汰内野手(26)は他の選手と比較しても、昨季の入団当時からすでに〝プロらしい〟雰囲気をまとっていた。
昨春キャンプの頃、チームの先輩選手たちが泉口の安定した守備、落ち着いたメンタル、機転が利く野球勘を評価する声を聞いた。今季は正遊撃手として起用する阿部監督に魅力を問うと「取り組む姿勢も素晴らしいし、いい集中力がある。状況判断もしっかりできる」と信頼を口にする。
決勝打を放った日も、バント失敗で懲罰交代された日も、感情の起伏は見せない。「一定のマインドで毎試合臨めばいい結果につながるのではないかなと。いい結果が出るときもあれば、出ないときもある。引きずっていたらあかんので」と語る強さには、ベテランのような風格を感じる。
そんなプロ意識の原点は社会人時代にあるのだと思う。大阪桐蔭高で甲子園優勝を果たした遊撃手は、青学大では主将を務め、卒業後にNTT西日本へ進んだ。現在東京ドームで開催されている都市対抗でも8強入りしている強豪チームで過ごした2年間では「給料をもらっていますし、自分のためだけに野球ができないと感じましたね」と、野球で稼ぐ責任を知った。
スーツを着て出社した日は、書類にハンコを押すなどの業務を行ったという。「できることがあまりなくて、雑用をさせていただいていました。職場の方々が優しくしてくださって」といち社会人としても経験を積んだ。「勝って会社の名前を広めないといけない」という使命感は自然と芽生え、都市対抗や日本選手権に出場を果たした。「会社を背負って野球をした経験は自分を成長させてくれました」と、今にも通じる感覚を養ったようだ。
泉口は3日のヤクルト戦(京セラ)で決勝の2点三塁打を含む3安打2打点で勝利に貢献し、打率はリーグでただ一人の3割に乗せた。球団では長野久義以来となる2年目での首位打者獲得に期待がかかるが、「そういうのを気にせずに日々やるべきことをやる。そこは最後まで自分の信念を貫いていこうと思います」と欲は出さない。クレバーな若武者は、地に足をつけて前進する。(谷川直之)