ペナントレースも最終盤に突入する中、阪神の猛追によりセ・リーグは最後までデッドヒートが予想される。その躍進を支えるのが2年目の森下翔太外野手(24)。虎の反撃が始まった後半戦にかけて、異次元の数字を残している。
その指標はOPS(On―base plus slugging)。出塁率と長打率を足して算出され、打席当たりの貢献度を表す指標で、数値が高いほどチームの得点増に貢献する打者とされる。
森下のこの値は・816でリーグ7位。十分優秀な数字だが、7月のオールスター後の後半戦に限ればなんと1・056に跳ね上がる。逆転Vへブーストがかかった9月はさらに高い1・129。20日に「51―51」を達成した大谷(ドジャース)の今季のシーズンOPS1・005と比較すれば、その数字のすさまじさが伝わるだろう。
森下翔太は打撃フォームを修正してV字回復ここまで121試合に出場して16本塁打、70打点を記録しているが、その内訳を見ると後半戦45試合だけで10本塁打、38打点の荒稼ぎ。チームに勢いを与えながら、今季70打点はリーグトップの村上(ヤクルト)まで8差の3位タイに名を連ねる。(数字はすべて20日現在)
前半戦はなかなか成績が残せない時期もあった。5月は打率・228、6月も同・236と不調に陥り、7月6日に登録抹消。約2週間、ファームで汗を流した。そこから驚異のV字回復。その裏には、先輩からのアドバイスが隠れていた。
7月24日。オールスターブレークの間に甲子園で全体練習が行われ、選手たちはシート打撃で実戦感覚を養った。それぞれ2、3打席に立ち、快音を響かせる選手も多い中で森下は三振、中飛、中飛といまひとつ。この練習終わりに、マスクをかぶっていた梅野隆太郎捕手(33)から声をかけられた。
「構えの位置がうしろになりすぎているんじゃないか」
力強いインパクトを意識していたため、構えたときのバットの位置が知らず知らずのうちに捕手寄りになってしまっていた。その結果打ちに行ったときに出したい場所にバットが出せず、〝ズレ〟があったことを発見。昨季状態が良かった時期の打撃フォームの動画を繰り返し見てしっくりくるフォームをつかんだ。
「構えが決まれば打てる」。森下はよく口にする。梅野からの助言を経て打撃フォームを修正し、リラックスして体の真ん中にバットを置く構に変更した。そして後半戦開幕前には「今の構えなら何とかなる気がする」と手応えを得る。その感覚は正しかった。
対戦するのは投手であることは間違いないが、自分が作りたい形を作って打席に立つことができれば、今の森下ならどんな投手も苦にしない。いざ、奇跡の逆転Vへ―。どっしりとした構えから繰り出される一打で、虎を勝利に導く。(中屋友那)