阪神の話題をさまざまな角度から提供する「岡田虎に翼」(掲載不定期)。今回は救援の一角として結果を残す桐敷拓馬投手(25)のフォークにフォーカスする。昨季と比べ、今季は精度が安定しており、「ワンバウンドOK」の割り切りが奏功。〝スペードのエース〟は今後も武器を生かし、チームのために働いていく。(取材・構成=須藤佳裕)
試合終盤にその名前がコールされると、勝利の瞬間が近づいていると感じられるようになってきた。救援陣の一角、桐敷は開幕から好調。チーム最多の30試合に登板して2勝0敗、防御率1・57で、ホールド数もすでに昨季を上回るリーグ最多タイの18個をマークしている。
結果を残す中で着目したいのはフォーク。左腕にとっては「ツーシームは持ち味ですけど、それだけじゃ意味がない。落ち球は必要」と、重要視する球種の一つだ。ここまでの450球中、投じたのは67球。奪空振り率は持ち球の中で最も高い23・9%に上る。投球コースの比重で見ても、昨季は高めや内外角のボールゾーンに抜けることも多かったが、今季はストライクゾーンの横幅の枠内でボールゾーンに落としきった割合が実に64・2%。しっかりと低めに集められている。
大きく変わったのは心の持ちようだ。すっぽ抜けたフォークがストライクゾーンに残って痛打されるのは、投手にとっては悲劇。そんな後悔をしないために、今季は「『極端なワンバウンドでもいいや』『失投をするぐらいだったら引っかけてボールでいいや』ぐらいの気持ち」と割り切って腕を振るようにしている。その結果が制球の安定であり、昨季の・179(39打数7安打)から・111(18打数2安打)となったフォークの被打率の良化だ。18日の日本ハム戦(甲子園)も同点の八回2死二、三塁の大ピンチで対戦した代打・レイエスを、カウント1―1からフォークの連投で空振り三振斬り。自信を持って投げられる落ち球は飛躍のカギを握る。
「本当に任された場面でいくだけ。中継ぎとしてまだ2年目という立ち位置なので、一試合一試合をちゃんとやっていくというのがもちろん。チームが勝つことが一番なので、やりがいを感じています」
昨季から異名は〝スペードのエース〟。首位を虎視眈々と狙うチームに、これからもたくさんの勝利を届けてくれるはずだ。