本拠地・甲子園に戻った岡田監督。おだやかな表情をみせていた 「関西ダービー」はついに、大阪市西区の京セラドームから兵庫県西宮市の甲子園球場に戦いの場を移す。阪神電鉄なんば線に揺られれば20分たらず。きっとほとんどの人の通勤経路の方が長いくらいの距離だが、この日は「移動日」が設けられていて、阪神、オリックスの両軍が甲子園で練習を行った。
昔から移動日にもドラマが起こるのが日本シリーズだけに、駅や空港での監督、選手らのようすを伝えられないのはちょっぴり変な感じだ。そんなことを考えながらフラリと編集局に顔を出すと、タイミングよく日本シリーズでの取材経験が豊富な男が座っていた。この日の当番デスク、牧慈は「ON対決」となった2000年の巨人-ダイエー(4勝2敗で巨人が日本一)を取材した経験の持ち主だ。
「あのときは、まさかの事態で移動日がなかったんですよ。福岡ドーム(現ペイペイドーム)が医師の会合で押さえられてしまっていて使えず、2戦目の次の日に東京から福岡へ空路で移動して即3戦目だったんです。そして、2日間試合がなくて、4、5戦目を福岡で戦った後には、また東京へ移動して即6戦目。変な感じだったなぁ」
不規則な日程だっただけでなく、2日間の〝空白期間〟にはヒドイ目にも遭ったという。「主力選手のスキャンダルが発覚して、現場だった宮崎まで飛びましたよ…」。日本一原稿の準備どころじゃない、いろいろとめちゃくちゃな数日間を過ごした。それでも、最後にはミスターが宙を舞う姿を見られたのだから、牧にとっては一生自慢できる日々でもある。
さらに、牧の隣に座っていたサブデスクの長友孝輔も、身を乗り出して話に入ってきた。この男はタカ番として、2015年のソフトバンク-ヤクルト(4勝1敗でソフトバンクが日本一)を取材している。