8日に67歳で死去した安倍晋三元首相は、野球とスポーツに大きな縁があった。小学生のころに神宮球場で観戦して以来のヤクルトファンでもあった。本紙では2021年1月16日付で、高津臣吾監督(53)との対談を掲載。20年に最下位に終わり、チーム運営に悩む指揮官に、長い首相経験から導かれたチームマネジメントの極意の一端を明かし、励ましていた。
日本プロスポーツ大賞で大谷と=2018年安倍元首相は小学生時代、外相などを歴任した父の晋太郎さん(1991年死去)に連れられ、神宮球場で観戦して以来のヤクルトファンだった。その縁から、昨年1月の本紙で高津監督との対談が実現。神宮球場で向かい合った。
当時の安倍氏は、20年9月に首相を辞任した直後だった。同年に最下位に終わった高津監督から、マネジメントの秘訣(ひけつ)を問われた。歴代最長の在職期間を通じて国のかじ取りを担った経験をもとにして、「あくまでも自分を信じ、この道で行くしかないと決めていくことは大切。リーダーがふらふらすると全員が動揺しますからね」と穏やかに答えた。
ミスターと松井氏と国民栄誉賞表彰式=2013年「過去に自分が犯した失敗から学ぶことはとても大事なんですけど、今、やらなければいけない、明日やるべきことも山積しています。そちらがおろそかになると、どんどん悪い流れに飲み込まれる」。安倍氏のアドバイスに高津監督はうなずき、「反省してできることは100やる。できることしかやらないという考えで逆境に立ち向かっているつもりです。なかなかうまくいかないと、人間はシュンとしてしまうんですけど、そうならないようにしたい」と応じた。
始球式で球審役、ミスター&原監督と=2013年安倍氏は「若い村上選手が育ってきた。球団にとっては新人をドラフトで取って、その選手が伸びてスターになることが理想的。スターがいて、球団が強くなる」と期待しつつ、「ファンの立場としては、まずはクライマックスシリーズ進出ですね」と背中を押した。高津監督は昨年、ヤクルトを日本一へと導いた。
安倍元首相は13年5月5日には東京ドームで長嶋茂雄、松井秀喜両氏に国民栄誉賞を贈り、始球式で球審役を務めた。08年3月の選抜高校野球では、甲子園のアルプス席から地元山口県代表の下関商高を応援したこともある。一ファンとして、スポーツを、野球を愛していた。