昨年、48歳で12球団合同トライアウトに参加した新庄監督は、チームを率いる立場として選手たちに熱視線を送った ビッグボス流「再生工場」だ。プロ野球で戦力外となった選手らを対象とした12球団合同トライアウトが8日、メットライフドームで行われ、日本ハム・新庄剛志監督(49)が視察した。同監督は、33人の受検者の中からロッテ、阪神で2019年までプレーした高野圭佑投手(29)、巨人の育成選手だった山下航汰外野手(21)ら4選手を高く評価。今後は球団と獲得に向けた協議に入るとみられ、師と仰ぐ故野村克也氏(享年84)にならう再生手腕に注目だ。
1年前は現役復帰を目指して日本ハムのユニホームでグラウンドに立っていた新庄監督が、今年はバックネット裏で最後のチャンスに懸ける選手たちに熱視線を送っていた。
「不思議だなあ、人生は。でも、僕が今の立場にいれるのも、去年ここ(=トライアウト)に立ったから。もう一度、プロ野球選手になりたくて受検したから、ここにいる選手の気持ちはすごく分かる。少しでもいいところを見てあげたい」
近年でも2007年に楽天・野村克也監督、08年に中日・落合博満監督がともに「宝の山」と表現して視察した例があるだけで、指揮官自らトライアウト会場に足を運ぶのは極めて異例のことだ。
ビッグボスの狙いももちろん〝お宝発掘〟、そして再生だ。シート打撃時には「自分が打席に入っていると想定して、投手ならどういう風にタイミングを外してくるか」、「外野手なら打球が当たる前にスタートを切っているか」など独自の視点の中で、お眼鏡にかなった4人の選手名を挙げた。
投手では元阪神で今季は台湾プロ野球・中信兄弟でプレーした高野、さらに前オリックスの金田。特に2年連続でのトライアウト参加となる高野とは、新庄監督は昨年にシート打撃で対戦して四球を選んでいた。「去年より、球の切れは全然良かったよ。特に(バットの)芯を外すカットボールは面白い」と評価した上で、「台湾まで行って修行して、また戻ってきて…。そういう気持ちというのは僕は大事にしたいタイプ。(投球前に)しっかりマウンドにも僕たちにもあいさつをして、ああいう人間性は大事」と続けた。金田については「投球リズムの良さと真っすぐの切れ」にほれ込んだ。
また、野手では高卒1年目にイースタン・リーグで首位打者を獲得した前巨人の山下をピックアップ。「ちょっと肩の(弱さの)方が気になったので、ウチがとるのであれば、DHでも面白い」と具体的な起用法にまで言及。さらにシート打撃で3安打を放った楽天の育成選手だった中村についても「ミート力がある。ただ左打者で一塁到達まで4秒3かかっていたので、その点は惜しいかな」と評した。
現状、日本ハムの支配下登録選手は6日に契約合意した新外国人投手のポンセを入れて64人。まだ6枠の余裕がある。「(トライアウトから)1人でも多くとりたいとは思うけど、球団の方針もあるので、僕は『この選手は良かった』という報告はします。後のことは分からない。まだ1年目のペイペイなので、(獲得を厳命する)そういう力はないから」。そう言い残して、2年連続での新庄トライアウト劇場に幕を下ろした。(東山貴実)