野球にタラとレバは禁物だけど…。佐藤輝のわずか10センチ差で、虎の運命も変わっていた⁉ 当然ご承知だろうが、今夜のナイターでヤクルトが勝ち、万が一、有り得ないと思うが、万が一、阪神が負けたら、ヤクルトの優勝が決まってしまう。
せめて「虎のソナタ」ぐらいは不吉なことを書くなといわれそうだが、しっかり現実を受け止めるしかない。
運命の日の前日。甲子園は雨。タイガースの全体練習はクラブハウスに隣接する室内練習場だった。
トラ番・原田遼太郎は最終調整のタテジマ戦士に熱視線を送っていた。
「普段と変わらず、淡々とした雰囲気でしたね。チームとしては、目の前の試合を勝つしかないわけですから。自分たちの力でできるのはそこまで。後はヤクルト次第。ヤクルトの対戦チームの頑張り次第。相手にマジックナンバーが点灯しているというのは、そういうことですもんね」
達観していた。その通りだ。
でも、過去を引きずるタイプなので、今も納得していない。大阪・難波にある編集局の窓際で、ずっとボヤいていた。
なんでこんな状況になってしまったのだろうか。独走していた6月中旬の予定では、今頃はぶっちぎり優勝を決めて、クライマックスシリーズに向けての調整段階だったのに。優勝に酔いしれていたはずだったのに。
少し離れた場所で紙面の打ち合わせをしている紙面総括と当番デスクの会話が聞こえてきた。
「サトテルが甲子園でホームランを打ったら、いつ以来や?」
「6月20日以来です」
「えっ、そんなに打ってなかったのか」